映像制作フィールドレポート・アーカイブ   LIST view  RSS
映像制作会社の代表が現場で印象に残ったことなどを写真やビデオキャプチャーで綴る撮影技術日誌
(WEBへの公開は制作会社、クライアント、出演者の許諾をいただいておりますが二次利用はご遠慮下さい)

2010年08月15日(日)  VG10の超広角はこのレンズに決まり!
先に書いたAPS-CのSONY NEX-VG10ですが、撮像素子のサイズがフルサイズで無いため、ニッコールの15mmF3.5を付けてもその超広角性能は発揮できません。
いろいろ探して見つけたのはシグマのAPS-C用レンズ8-16mm F4.5-5.6 DC HSMです。

絞り環はありませんが、このレンズは各メーカー用が発売され、もちろんソニー用も出ています。それに用のAマウントアダプターを付ければNEX-VG10からアイリス操作ができることになります。
APS-Cで8-16mmだと画角は114.5°〜75.7で、動画で使用しても100°以上の広角で撮影が可能です。
広角レンズの問題が解決できればシーンによってEOS5DmkUと使い分ける必要もなくなります。9月の発売が待ち遠しいですね。

2010年08月09日(月)  SONY NEX-VG10
来るべきものが来た!ということでしょうか。ソニーのAPS-C撮像素子のNEX-VG10です。
これまで浅い被写界深度を得るためにキヤノンEOS 5D MarkUを使っていましたが、この秋に発売されるNEX-VG10は撮像素子がフルサイズではないもののAPS-Cサイズ、つまりEOS 7Dと同じサイズになっています。撮像素子の面積が35oフルサイズのEOS 5D MarkUに比べて約半分で35mm一眼レフ用の交換レンズを付けた場合は画角が1/1.6(動画では1/1.8)と狭くはなりますが、それでも1/3吋のHVR-Z1J/Z5J/Z7Jなどに比べると撮像面積は約19.5倍と圧倒的な大きさで、まさにシネフィルムのサイズです。HDCAMなどの2/3吋と比較しても約10倍もあります。

なぜNEX-VG10なのかといえば、そのスタイルです。Z5JやZ7Jよりもひと回り以上小さなサイズはHVR-V1JやHDR-FX7よりも小さくなっていますが、操作性は動画用そのもの。スチル用のEOS 5D MarkUとは全く異なります。
実機を触った人の話によると
残念ながら映像出力のHDMI出力にモニターを付けると本体の液晶モニターが消えるそうです(2010.08.23)
やはりNEX-VG10はハンディーカムに分類されますが、動画専用というよりは静止画(写真)カメラを動画用に発展させたものということでしょうか。
鼻マイクが緩衝するかは現時点で確認はしていませんが、ファーブルフォトEXにVG10を付けれればファーブルカムになるのかな考えます。液晶が観察者側に向くのも良いだろうし、液晶の画像もデジタル一眼レフのライブビューよりも滑らかになると期待します。
ちなみに静止画のスペックは
記録形式 JPEG(DCFv.2.0、Exif v.2.3、MPF Baseline準拠
アスペクト比 3:2 L:4592×3056(14M)、M:3344×2224(7.4M)、S:2288×1520(3.5M)
アスペクト比 16:9 1 L:4592×2576(12M)、M:3344×1872(6.3M)、S:2288×1280(2.9M)
画質モード:FINE

ということでEOS 5D MarkUの5616×3744ピクセルには及ばないもののNIKON D3sの4256×2832よりも大きなサイズで撮影できるほどです。(もちろん画像処理や素子の事もあって一概に比較できるものではありませんが、Z5Jなどの静止画機能とは格が違うことは確かでしょう)

付属の標準レンズE18-200mm F3.5-6.3 OSSは12群17枚(非球面4枚、EDガラス1枚というスペックで、デジタル一眼レフのレンズキットレベルだとは思いますが、まずはこのレンズが同梱されてきます。
あちこちでデモ機のレビューが上がってきて「大判撮像板の割には感度が低い」という意見もありますがそれはレンズの開放F値が原因です。E18-200mmはワイド側でF3.5、テレ端では6.3まで落ちます。これは致し方ないことで、例えばAPS-Cサイズで標準画角になるAi Nikkor 35mm F1.4Sや中望遠になるAi 85mm F1.4Sを取り付ければ約3絞りほど稼げます。これを感度に換算すれば8倍ほどの感度アップに相当します。ズーミングでF落ちしないAi 35-70o F3.5やAi-s 50-135oF3.5、Ai-s 80-200mm F2.8、そしてAi-s 50-300mm F4.5なども十分使えるでしょう。もちろん広角の15mm F3.5やFish-eye Ais 16mm F2.8なども画角は1/1.6(動画では1/1.8)になりますが(焦点距離でいうと15oはフルサイズの24oになります)十分広角レンズとして使用できます。
SONY NEX-VG10は以上のことだけでもスチルカメラとムービーカメラのベクトルが一致した新しいスタイルだと考えますが、弊社にとってNEX-VG10はもっと違った魅力があります。それはニコンのスチル用に用意しているマクロ環境です。沢山のマイクロニッコールやベローズ(蛇腹)併用するELニッコール、APOニッコール、製版用ヘキサノン等。さらに拡大撮影用のNikon 5x F2.6 Ophthalmology lensやオリンパスの顕微鏡マウントZuiko Macro 38mmなどが使えること、他にもシフト機能のついたPCニッコール28mmやチルト機能が付いたベローズPB-4などの使用です。現在保有しているニッコールのリストはコチラにあります。
SONY NEX-VG10は従来の三板式ムービーカメラとは違って単板式が採用されているためにチルト・シフトを用いてもプリズムによる収差が出ません。これは放送用カムコーダーでは不可能なことで、この部分だけでもSONY NEX-VG10には大きな魅力があります。
SONY NEX-VG10、笹邊が待ち望んでいたカムコーダーであることは間違いないでしょう。デジ一動画の広角はEOS 5D MarkUで撮ることはこれまでどおりですが、それ以外はこの愛らしいNEX-VG10が活躍してくれるのではないでしょうか。ニッコールレンズとマットボックスが付いたSONY NEX-VG10のスタイルに期待が膨らみます。入荷は9月だそうです。NEX-VG10に注目されている方は絞り環が付いた旧タイプのニッコールレンズやFDレンズ、OMズイコー等の中古が高騰しないうちに入手されることをお薦めします。笹邊がEOSと合わせてWEBで紹介したためか?(そんなことは無いと思います)すでに昨年比で150〜200%になっているものも有ります。
(今回の記事に掲載した写真はオーダー先のシステムファイブさんのものを借用しました)

2010年07月29日(木)  蘇る鉄狼
蘇る金狼ではなく、鉄の狼です。
1/2インチ幅のオープンリールのビデオテープに塗布された酸化鉄に記録された映像・音声が40年の時を経て今デジタルで蘇ります。

統一T型で記録されたテープのデジタル化を50本近く受注しました。現在保有しているVTRは統一T型と互換のニューカラー型のものですが、モーターが50Hz型のため関西ではそのまま使用できず、インバーターで50Hzの交流電源を発生させて作業しています。
VTRの出力端子は現在のようなBNCではなく、最近まで無線機で使用さていたM型のコネクターです。そう、ビデオはサブキャリアが3.58MHzで、いわば電波なんですね。無線機用の端子でもなんの不思議もありません。
DVDレコーダーで直接コピーすることも可能ですが、テープが劣化しているため再生中にヘッドが目詰まりを起すため、連続したプログラムにするためには出力した映像、音声を一旦コンピューターでアナログキャプチャーし、目詰まりの生じたところでヘッドクリーニングを行い、少し巻き戻してプログラムを途切れないようにキャプチャーします。編集ソフトのタイムラインで分かれたファイルを一つのタイムラインとしてAVIファイルを書き出します。音声にノイズが多いプログラムは整音ソフトでノイズ成分をサンプリングしてノイズを除去して完了です。
コストはそれなりにかかりますが、ハードウエアが無くて再生できなくなったとはいえ、今回のビデオテープはお客様の大切な映像資産であり、それを何とか復活させたいと考えられることは当然のことですね。
DVDと同時にAVIファイルとして保存することで画質・音質の劣化を最小限に抑えて保存できることはデジタル技術のお陰だと思いますが、もし今回のビデオテープがハードディスクやDVD(もちろん当時そんなものはありません)だったら今頃はとっくに消えて無くなっていたことでしょう。もちろん今回お納めさせていただくDVDやHDDも定期的にバックアップしていただかなくてはなりません。そして何よりもこの大きな1/2インチビデオテープも保存していただきます。
デジタル化が進んだ現在、いかにファイルを無くさないかが大きな課題になると考えますがいかがでしょうか。

2010年07月24日(土)  NIKONからのお知らせ
1010年7月22日のニコンからのお知らせです。
PRESS RELEASE/報道資料
フィルムカメラおよび交換レンズ一部機種の修理対応期間を延長(2010年7月22日)



今年で打ち切られるはずのNIKONフィルムカメラの修理受付が5年も延長されました。上の写真は笹邊が使っているNIKON F3Pとレンズですが、今後5年は修理可能と言うことです。一眼レフのマウントをコロコロと都合で変えるメーカーに比べるとNIKON F用に1959年(昭和34年)開発されたNIKON Fマウントはまさに不滅のマウントといえるでしょう。1959年といえば笹邊が生まれて5年目、その時代に作られた規格が今日販売されているデジタル一眼レフでも使用できるわけです。
撮像素子や処理回路の進歩により短期間で旧型になるデジタル一眼レフに比べると、フィルムカメラではレンズとシャッターがあれば現行機と何ら遜色なく使える素晴らしさがあります。

ニコンでは、販売を終了した製品も永くご愛用いただきたいと考え、フィルムカメラに関連するサービス内容の見直しを行いました。今後もお客様の声に真摯に耳を傾け、お客様のニーズや期待にお応えできる製品の提供、サービスの向上に努めて参ります。
この企業姿勢が好きです。これこそ日本人の心「勿体無い」を象徴するエコそのものではないでしょうか。笹邊の自宅にはマウント変更で使用できなくなったFDレンズ、NEW FDレンズがゴロゴロしています。
互換性を保って欲しかったマウントは一眼レフだけではありません。2/3吋TVレンズのB3マウントもその一つです。B4に比べるとB3マウントは中古市場でも1/10以下です。ハイビジョン時代にも引き継がれたB4マウントはNIKON Fマウントと並ぶ不滅のマウントと言えるんではないでしょうか。
ここで一句 「高級レンズ マウント変われば ラムネ玉」

2010年07月22日(木)  巣立った雛、元気です。
神社のアオバズク、昨日4羽目の雛が巣立って今年も全部で4羽が無事巣立ちました。写真は今回もHDビデオから取り出した静止画です。




こちらは雛たちを見守る親鳥。みんな元気に旅立ってくれるといいですね。

2010年07月21日(水)  美しい歌手と京都洛北のロケ
メジャーデビューされている演歌歌手との京都ロケでした。いつも韓流ポップシンガーの中継でお世話になっている神奈川の制作会社からの仕事です。ロケは三千院、貴船、上賀茂神社、下鴨神社、曼殊院などです。

開門前の三千院から撮影スタートです。タイアップもののためロケはとてもスムーズです。新曲発表前のため暈しをかけた小さな写真になっていますがご了承下さい。HD製作でカメラはP2のHPX-555です。文化財が多いところで、電源容量、発熱を考慮して照明は小型HMIのマイティーを使用しています。

開門前の三千院はまさに静寂。そのなかにお坊さん達の般若心経が響き、そこに洛北をテーマにした唄が流れます。絶妙なバランスでした。

上の左は上賀茂神社の「ならの小川」、右は曼殊院の枯山水での撮影。
お陰さまで皆様の協力により撮影は無事完了しましたが、猛暑の中を和装で頑張っていただいたOMさん、素晴らしかったです。そしてスタッフの皆さんお疲れ様でした。夕食の際にスタッフの口から出た言葉は「上賀茂神社では死ぬかと思った」


このPVは放送のほか、京都駅のビジョンでも流れるそうです。上がりが楽しみです。今回の撮影はPVといこともあってリップシーンが多く、現場での音出しは千里ビデオサービスオリジナルの電池駆動アンプスピーカーが活躍しました。iPodを音源に3W×2のアンプから現場でガイドを流します。
アンプの電源はACの他、フィールド用として一体化したバッテリーケースにNP-1を使用します。インタビューのプレビュー用などにも便利なアンプ内臓SPです。ステレオ感を確認する時はベルクロで合体したLRを分離して使用します。
※ゼンハイザーのステッカーは貼ってあるだけで、ゼネラル通商からはもちろん発売されておりません。

2010年07月20日(火)  芝居の5カメ収録
いずれ撮影現場の方にアップしますが、こちらで写真だけですが紹介します。仕込図はこちらにアップしています。

撮影は5カメのマルチ収録。満席の客席にはカメラは設置せず、最後列の音響席に並んで3台と花道に小型カメラを上下それぞれに設置しました。

左がセンターの3台、小型カメラはパナソニックのAW-E550です。

左が下手用で右が上手用。舞台上下に高座が作られ、頻繁に暗転からの登場になるため、VTRはスイッチングせずに収録します。

収録ベースの様子です。手前がTD、奥がVE卓で、AW-E550用のCCUを追加しています。

9インチのPSTモニターとPGMモニター、1〜5カメの6吋モニター。VTRはDVCAMを5台用意しました。

DSR-2000を他で使っていたので、1台はHVR-M10Jを1394コンバーターに使用してメモリーレコーダーで収録しています。
右は音声収録用のPCC-160です。センター、上下で3枚用意しました。芝居の収音には複数のMKH-416が理想ですが、そこは予算との兼ね合いも重要で、やはりPCCは必需品です。なによりも他のバウンダリーマイクに比べて無骨ですが頑丈です。

録音はローランドR-44でライン音声を入れて4CHのマルチで録ります。右はモニター用の小型スピーカー。VTRへの音声分配はタスカムのADAを用いています。R-44はマルチレコーダーとしてだけではなく、4in4outの音声ミキサーとしても使用しています。

映像とは直接関係ありませんが、現場の時間管理用の時計です。ホールでは電波時計の電波が届かないことも多いので、クォーツのアナログ時計を使用しています。暗所でも良くわかるように文字盤が背面から有機ELで照らされています。
造幣局の貨幣セット抽選会はこれまで10回余り撮影、配信を行いましたが、2010年7月の競争入札でイベント制作&コンパニオン派遣会社が最低落札で落とされました。2010年7月以降の配信は弊社のものではありません。競争による入札システムなので当然最も安い金額で落ちるわけですが、公表された金額では弊社としては不可能です。

2010年07月19日(月)  アオバズク巣立ちました
毎年近所の神社にやってくるアオバズク、先ほど巣立ちました。写真はスチルカメラではなくHDムービーから取り出した静止画です。20時半頃でした。

頸が180度以上回るのはさすがにフクロウです。眩暈を起こさないのが不思議。

ドキドキ・ワクワクの雛。飛び立つまで何度もトライします。

飛び立った瞬間です。大勢のスチルカメラマンのシャッター音がまさに激写です。

これは雛ではなく、巣立ちを促す親鳥です。19日に巣立った雛は一羽。残りの二羽もおそらく20日ないし21日には巣立つでしょう。今週来週は多忙のためアップできませんが、いずれ動画をアップいたします。

2010年06月27日(日)  Luigi Velatiさんのビンテージバイクギャラリー
Luigi Velatiさんのビンテージバイクギャラリーへ行ってきました。
【BI・CI・CLASSICA】大阪市中央区瓦屋町にあります。

1960〜1990年を中心としたクロモリロードバイクのギャラリーです。オーナーはイタリア人の建築デザイナー【Luigi Velati】(ルイジ・ヴェラーティ)さん。降りしきる雨の中、枚方のご自宅から愛車で走ってこられずぶ濡れのルイジさんに出迎えていただきました。

1961年イタリア・ミラノ生まれ。'82年にミラノ ブレーラ国立芸術学院を卒業。'86年までスタルク建築設計事務所(ミラノ)に勤めた後、来日してスタジオ・ヴェラーティを設立ということですが、イタリア時代はレーサーでした。また、本業の建築デザインだけではなくこういったものもデザインされています。




下は笹邊のビンテージバイク。1987年に千里ビデオサービスを始める前に設計したものです。
ビルダーはナショナル自転車(現パナソニック サイクルテック)の小野氏。コンポーネントはシマノジュラエース、サンツアースプリント、スギノマイティー、吉貝ロイヤルグランコンペ等で構成。


昼食は豚公司 銀呈で頂きました。

目的は新メニューの【帯広豚丼】
一階に大きな目印の飛豚?店舗は地下になります。

左はえびクリームコロッケ定食、そして右が【帯広豚丼】です。十勝に居た頃に食べた味にとても満足しました。

2010年06月24日(木)  今日は屋内で
先週は雨降る中でのロケや医学系の動画編集、生命科学の実験映像などで色々楽しませてもらいました。そして今日明日はスイッチングの現場です。梅雨の合間の日本晴れ、とても気持ちのいい朝でした。

事務所の傍のアジサイも朝日を浴びてとても爽やかです。雨の似合うアジサイですが、朝日を浴びた姿も美しいですね。

気持ちのいい日差しを他所に、今日の現場は屋内。あの会場で毎年行われるイベント。日本全国いたるところで同様のイベントが開催されますね。

明日がそのイベントの本番で、今日はそのリハーサル。ライブカメラは2台。
今回はカメラへ返すリターンを普段のカメララインのプログラムリターンの他にもう一系統、シームレススイッチャーで切り替えられたPPTやブルーレイ等の送出映像もダウンコンバートして送っています。カメラマンがスクリーンに出ている映像をファインダーで確認できる、いわばオンエアリターンです。

リハーサルを終えて事務所に戻ると見事な夕焼けでした。どうやら明日は天気が崩れてきそうです。
明日の現場は昼過ぎには終了し、その後ポスプロでHDCAMのコピー作業を行います。来週はCM編集とMA、そして別件の医科学系の編集作業。けっこう月末も忙しそうです。

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