映像制作フィールドレポート・アーカイブ   LIST view  RSS
映像制作会社の代表が現場で印象に残ったことなどを写真やビデオキャプチャーで綴る撮影技術日誌
(WEBへの公開は制作会社、クライアント、出演者の許諾をいただいておりますが二次利用はご遠慮下さい)

2012年04月09日(月)  今日はスイッチャーで
ロケから戻った次の日は大学のセミナー収録です。

出かけている間に近所の桜はすでに満開。花見気分もほどほどに現場へ向かいます。

ライブカメラ2台とダウンコンバーターのスイッチング収録です。インカムはシュアーのENGミキサーを使って各カメラのCH-2に送ってカメラマンはイヤホンで聴いています。

16:9のスイッチングは4連モニターを使用し、音声はローランドR-44にパラで録音しています。なにかと便利なR-44も導入から3年目に入りました。野外録音から屋内のイベントまで様々な現場で活躍しています。
 

2012年04月08日(日)  伝統的町並みロケ【出石町】
ロケ最終日は兵庫県出石町です。

宿泊したのは和田山の小さなビジネスホテル。小さいホテルですが、とても親切な女性支配人というか、女将さんに感謝です。
規模ではなくおもてなしの心がなによりも大切だということを再認識させていただきました。

和田山から峠道を越えて約40分ほどで到着します。途中の峠にはまだ雪が残っていてびっくりしました。
さて出石といえば出石蕎麦ということになりますが、まずは出石のランドマーク「辰鼓楼(しんころう)」です。

出石城の石垣の天辺から出石の町を俯瞰します。伝統的建築群は右1/3ほどのエリアです。

武家屋敷の門をZiggyJIBを使って撮影します。

カメラはリグから外してヘッドだけにして取り付けています。トリガーはVG10用に改造した写真用のエアレリーズを使用しています。

ZiggyJIBの動作をGIFアニメでご覧ください。三脚はサクラーの太いタイプを使用していますが、カーボン製で軽量なため移動は一人でも可能です。

出石町のマンホール。辰鼓楼がデザインされています。

こちらは電気のマンホール。やはり辰鼓楼です。マンホールって面白いですね。

伝建地区に指定され、町並みは美しく整えられています。

出石町を愛する方々の努力によって復活した映画館の永楽館です。普段は見学施設になっていますが、落語や芝居も演じられています。この日のインタビューは桟敷で撮影しました。もちろん桟敷三脚です。

NEX-VG20を増設したグリップ部から見ています。レンズはシフト対応の17-35mm F2.8で、グリップ部に深型フードが付いたCLM-V55、XLRコネクター、後部にデジタル水準器が付き、HDMI分配器とDC-DCコンバーターを内蔵したV座バッテリーアダプターが付いています。現場を重ねる毎に進化するSVS VG20です。

撮影を終えて夕食タイム。しまぶんの黒豆ごはんの定食です。

こちらは出石蕎麦定食。とろろも付いていて美味しくいただきました。

ロケは今日が最終予定でしたが実はまだ終わりません。悪天候で撮り残した近江八幡と五個荘のロケを16-17日に行うことになりました。

2012年04月07日(土)  伝統的町並みロケ【丹波篠山】
ロケ後半の始まりは中国自動車道から舞鶴若狭道へ乗り換えて丹波篠山へ。

前を行くのは千里ビデオサービスの少し北にあるふれあいどうぶつ村のトラック。

荷台にはアヒルや羊が乗っていました。きっと沢山の子供たちが待っているのでしょう。

篠山城跡からみた篠山小学校。懐かしい雰囲気です。

城跡の最上部へ役場の方に案内していただいて城下町の重要伝統的建築物群を俯瞰撮影。

町並みの撮影をしていると、突然霰というか雪のようなものが舞ってきました。

天気が悪くなってきたのかと思うとあっという間に晴れ渡ります。天気予報では晴れらしいのですが、最近予報が当たらないことが当たり前のようになっています。これじゃ天気予報というよりは【天気予想】だと大笑いです。

実は中休みの間にVG20の改良を行いました。ソニーのフネVCT-14が二枚になっています。下は従来どおり三脚アタッチメントで、上のVCT-14はマットボックスやV座バッテリーアダプターを取り付けるベースプレートの役目を担っています。また、ベースプレートには金属製のハンドルを付けて、そのハンドルに音声用キャノンコネクターやモニター用雲台が付いています。上のVCT-14にM6ボルト2本で取り付けたハンドルは鋼鉄製でVG20一式を下げることに全く不安はありません。このハンドルひとつで全ての重量を支える強度を求めるとここしかないと思いました。また、VCT-14を二枚使うことでカメラの重心が三脚ヘッドの回転軸から離れてモーメントが大きくなりました。おかげでVG20という軽いカメラにもかかわらずカウンターが強力なVISION 10で完全バランスします。VSION 10で使えるVG20ということでカメラワークのストレスがなくなったことは最大の喜びです。

町角にこんな絵地図がかかっていました。こういう絵地図を見ると歩きたくなります。

これはマンホールではなくて方角を示すプレートです。ササユリを入れたプレートはとてもいい感じです。鉄と真鍮で作られているようで、かなり高級です。

こちらは地元の学識者へのインタビュー。ソニーのピンマイクECM-77BをVG20とXLRコネクターで接続しています。

今回のシリーズを監修いただいている教授のキャンピングカーで撮影後のひと時に美味しい珈琲タイムを。
明日は今回の最終地点、蕎麦でおなじみの出石町です。
 

2012年04月06日(金)  ロケ中日は打合せなど等
ロケの間の中休みに自宅の庭には春が来ていました。


クリスマスローズ


新顔のクリスマスローズ


ヒヤシンス


ラッパスイセン


ユスラウメ


ボケ


シュンラン

今年は例年になく寒い日が続きましたが、箕面もようやく春になったようです。
 

2012年04月05日(木)  伝統的町並みロケ【大宇陀】
今日は奈良県の大宇陀町。五條や今井町は知っていましたが、こんなところに伝建地区があるとは知りませんでした。

町花のかざぐるまをデザインしたマンホールです。【かざぐるま】はキンポウゲ科クレマチスの仲間です。大宇陀町が自生地の北限で国の天然記念物だそうですが、琵琶湖の北にも咲いていたような記憶がありますが、おそらく園芸種の種が飛んだものでしょう。
北限と反対の南限のはなしですが、大宇陀に近くの室生村はすずらんの自生南限地だったと記憶します。もう35年も前に訪れたときの話です。

移動ショットの撮影です。このシリーズでの移動ショットはステディーではなく、全てどこでもドリーを使用しました。

今回の撮影に使用したNEX-VG20はオリジナルとはかなり違うスタイルになっています。V座のDタップからモニターやHDMI分配器への電源供給やバックタリーランプ、そして一番活躍するのは(これが一番活躍というわけではないのですが)本体液晶モニターに付けたUNのUN モニタリングPROワイドとニコンF3高倍率ファインダーDW-4の接眼部目当てゴムかと思います。今回の撮影では本体のファインダーにはアイピースキャップを付けたままで一度も覗くことはありません。そしてVG20の拡大フォーカスと、ファインダー拡大中も常に全視野が見えるCLM-V55です。

吉野葛のお店ではガラスへの映り込みを抑えるためにサーキュラーPLも使用しています。

さて、これが今日のスタッフ弁当。制作さんが気を使って大盛りを頼んでくださいました。左が大盛り、右がレギュラー。たしかに大盛り、いやメガ盛ですね。

大宇陀の撮影は天候に恵まれ、一日中気持ちよく撮影を行うことが出来ました。そして明日は中休み。片付けや新しい案件の打合せがあります。
 

2012年04月04日(水)  伝統的町並みロケ【五個荘】
近江八幡から車で20分ほどの五個荘町金堂が今日の撮影場所です。金堂といっても建物ではなく地名です。

前回の富田林や湯浅などのロケではサクラーのVIDEO 18 PLUSを使用していましたが、今回からはフットワークを考えてビンテンのVISION 11を使用しています。出来ればVISION 10を使いたいのですが、何分カメラが軽いのでカウンターバランスの強いVISION 10では跳ね返されてしまって完全バランスが取れません。

富田林では雛人形が飾られていましたが、ここ五個荘では季節が変わって五月人形が飾られています。そろそろ端午の節句ですね。

五個荘は映画「てんびんの詩」の舞台でいたるところに近江商人の屋敷があります。ここは作家外村繁の生まれ育った屋敷で「外村繁文学館」になっています。

五個荘はいたるところに水路が流れ、寺前・鯉通りなどとも言われます。残念ながら水路は昨日の風雨で濁っていて撮影は断念。別日に香盤を変更して町並みや屋内の撮影をします。実はこの五個荘には9年前の平成15年に金田たつえさんのPVロケを行いました。今回と同じく近江八幡とセットでのロケですが、金堂の町並が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されてまだ5年ほどで今ほど整備されてはいませんでした。しかし今では平成3年に重要伝統的建造物郡保存地区に指定された近江八幡にならぶ湖東の歴史的町並みとして大勢の人が訪れます。

天秤棒を担ぐ近江商人の像です。
当時を偲ばせる竃さん(かまど)です。笹邊の生家も四連の竃があり、風呂には井戸から水を汲んでいました。小学校5年生まで冷蔵庫の無い生活でしたが、今思えば懐かしいかぎりです。もし当時の家が残っていたら伝統的建造物に指定されたかも・・・・・まあ、そんなに立派なものではないですが。

弘誓寺の大屋根を撮っています。ほぼ水平にカメラを構えていますが、屋根の上までフレームに収まっています。やはりシフトレンズで無ければパースが強くなってしまいます。

明日は奈良県の大宇陀へ大移動でです。

 

2012年04月03日(火)  伝統的町並み【近江八幡】
今日の西日本の天気は爆弾低気圧のために各地で被害が出る大荒れになりました。

昨夜から今日の天気図です。黄海で発生した温帯低気圧が急速に発達しながら東進しています。
気象協会の動画で見るとその様子が良くわかります。

 

さて、肝心の撮影については、雨が降るまでの午前中に屋外の撮影を済ませて(一部は予備日に持ち越し)屋内の撮影を中心に行いました。

白雲館(観光案内所)旧八幡東学校は室内と外観。空全体をトレーシングペーパーで覆ったような天候のお陰で建物のディティールはよくわかりました。

外では風雨が強く、一時は大粒の雹が降って雨戸や屋根が轟音を響かせたりもしましたが、伝統的建築物の屋内撮影は停電も無く無事終了。

16時頃からは先ほどまでの天気が嘘のように晴れ渡り、台風一過ならず、爆弾低気圧一過の青空。ただし強風はしばらく続きました。

城壁と下弦の月。時代劇のようです。

こちらはメンタームでおなじみの近江兄弟社の社屋。

近江兄弟社の傍のヴォーリズ像。ヴォーリズに花を捧げる少女とセットの像には花が生けられています。

夕日に染まる八幡堀。今日も一日が終わりました。

ホテルで見たニュース。各地で強風が吹き荒れたそうです。

そして近江八幡では突風でトラックの横転が相次いだそうです。
強風の最中は屋内撮影だったため、そういった状況を全く知らずにいてニュースで驚いた次第です。

女性スタッフの部屋には無料のマッサージチェアがありました。この待遇の違いは禁煙/喫煙の違いでしょうか?

翌朝の朝刊にビックリする記事が載っていました。なんと近江八幡市で電柱が15本も折れたそうです。写真で判るように、鉄筋の入ったコンクリート製の電柱です。爆弾低気圧、恐ろしいですね。また友人の山小屋では大雪となって今シーズン最大の積雪になったそうです。


2012年04月02日(月)  伝統的町並みロケ再開【近江坂本】
重要伝統的建造物群保存地区の撮影、後半スタートです。今回は全部で6地区の撮影を行います。

初日は滋賀県大津の坂本です。京阪電車大津線の浜大津のホテルで制作さんをピックアップして目的の坂本へ向かいます。浜大津〜坂本への所要時間は車で15分ほど。

まずは坂本の日吉大社の日吉東照宮の撮影からスタートです。日吉東照宮は元和九年(1623)に徳川三大将軍家光公の時に比叡山の麓に造営されました。できあがった社殿が素晴らしく、その様式を基に日光東照宮を再建したといわれています。

建築物の撮影にはやはりシフトレンズは必須のアイテムです。今回の撮影ではシフト11mmの17mm-35mmF2.8ズームレンズを標準レンズとして使用し、必要に応じて8-16mmや光量が必要な屋内撮影では16mmF2.8にウルトラワイドコンバーターを付けて12mm相当としました。

次は比叡山へ登る坂本ケーブルでの撮影。貸し切り状態の早朝に許可をいただいて三脚使用で撮影します。

記録部が出発間際のケーブルカーを撮っていてくれました。制作さんたちも大急ぎで乗り込んでいます。

ケーブルカー頂上【ケーブル延暦寺駅】です。

撮影を終えて出発駅の【ケーブル坂本】へ戻ります。階段状のホームの下りは足下に気を付けて。

今年は寒さの影響で桜はまだ咲きませんが、土筆はまだまだ盛りです。

坂本は平安時代より、山側の上坂本が門前町、湖畔の下坂本が荷揚げ港として発展し、中世には近江国最大の都市として繁栄し、近世以降に延暦寺と密接な関係を保って形成された建築や庭園、門やこの地方独特の穴太衆積みの石垣等が水路とともにすぐれた景観を残しています。

目線を下げて水路から撮影。オリジナルのハイハット【桟敷三脚】を使って制作モニターへの映像はHDMIで送っています。

「桜が咲いていたらなあ」と思いつつも、建築物を主体に画面の情報を整理するということでは天候に感謝しつつカメラを回します。

お昼は大盛りのカツ丼でパワーアップ。山椒昆布も美味でした。

滋賀院門跡や庭園などを撮影させていただきます。


撮影禁止の場所では延暦寺の僧侶立会いでの撮影になります。もちろん養生やテニスボールは絶対必要です。


営業中の蕎麦屋さんも伝統的建造物です。

宿泊地の近江八幡へは琵琶湖大橋を渡って浜街道を走ります。素晴らしい夕日を琵琶湖の伝統漁法「えり」とともに撮影して今日一日が終わりました。明日は近江八幡市の重要伝統的建造物の撮影です。
 

2012年03月22日(木)  空間光学手ぶれ補正
ソニーのハンディーカムHDR-CX720Vに搭載された新技術「空間光学手ぶれ補正」
これはもう完全に3軸ジャイロ。
世界のソニー”流石ですね。




知り合いがHDR-CX720Vで撮影したサンプルをアップしています。


カメラの能力だけではなく、この小さな民生機を使いこなす技術が素晴らしいです。
※普段は2/3吋のショルダータイプXDCAM HDカムコーダーをご使用されています。

空間光学手ぶれ補正のレンズが動く様子がYouTubeにありました。上下方向の補正と左右方向では乗数が違うのでしょうか、左右のパンが利くように少し抑えているようです。


こちらは同じくYouTubeで見つけた笹邊お気に入りのHDR-CX720Vの車載動画。素晴らしいです。
他の動画の走行エリアを見ると青森方面の方のようですね。素晴らしい動画に感謝です。


手ぶれ補正だけではなくワイド端の湾曲の少なさも素晴らしいと思いました。


HDR-CX720Vに搭載された「空間光学手ぶれ補正」は1920x1080/60pの能力や広角性能と湾曲性能も加わってこれからの撮影シーンを塗り替えるのではないかと期待します。やっぱり“世界のソニー”凄いです。

2012年03月20日(火)  神戸オープンロケ
先日天候が悪くて室内のみの撮影で終わった神戸異人館のオープンロケです。

まずは風見鶏の館から。ほんとにいいお天気になりました。

カメラはNEX-VG20にロッドサポートを付けています。三脚はサクラーVIDEO 18 Plus。小さなカメラですが、意外と大きな三脚を欲しがります。EOSでもそうですが、大判撮像素子のカメラは概ね大きな三脚の方がいいようです。

フィルターを使わない場合でも状況が許せばマットボックスとフラップは使いたいものです。ただし人ごみでは十分注意しなければ怪我をさせてしまいます。用心用心。

レンズはAiニッコール15mmF3.5を使用しました。今のところシフトが出来る最広角レンズになります。これより広いシフトはあの「毒キノコ」Nikkor 13mm F5.6ということになるでしょうか。シグマの8-16mmをF8に固定してシフトアダプターに付けてみましたが、やはりAPS-Cのためイメージサークルが足りません。

こちらは萌黄の館です。微妙な色合いは難しいですね。オートホワイトで撮ると下のコンパクトデジカメのように色が変ってしまいます。

下から見上げるショットでも見た目の違和感をシフトレンズで改善しています。

うろこの家ではレンズを17-35mm F2.8に交換しました。絞り環が付いたズームレンズは普通のニッコールレンズと同様にシフト撮影が行えます。

ここはラインの館。無料公開されいますが、屋内や庭を三脚使用で撮影するために、制作さんが事前に連絡をして許可をいただきました。

通りのドリーショットもとてもいい天気で、気持ちのいい撮影が出来ました。カメラ無しでぶらついてみたいものです。

ラインの館前のバス停。運良く二台のバスが並んでくれました。神戸の山手はほんとに異国情緒豊かな街だと思います。

下の写真はコンパクトデジカメのサイバーショットT100で撮影したものをデジタルシフトでパースペクティブを補正しています。まずは見比べてみてください。

シフト補正なし。

垂直線が完全に平行になるように補正。

若干上が小さく見える程度の補正。

上の3枚でどれが自然に見えるでしょうか。笹邊の建築写真の師匠が「ビューカメラのピントグラスで正確に合わせると上が大きく見える。正確に合わせてから、チョットだけ戻るのがコツや」と仰っておられました。物撮りでも縦の線を正確に合わせると下が大きく見えてしまうので、見おろす撮影では下を少し小さく撮るのがコツになります。


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