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HD中継車を使用したハイビジョン4CAM+ENGの現場
大衆演劇のDVDパッケージとオンエアのための収録をハイビジョン中継車を使って行いました。収録システムはSONY HDC-1600を4台、HDW-750を1台、スイッチング映像はHDW-M2000を使用しました。

 HD小型中継車。番組中継でおなじみの東通さんの小型中継車は運用に応じてHD/SDに組み替えることが出来る汎用中継車です。今回はハイビジョン用にHDC-1600/4台、HDW-M2000/2台、HD-SDIスイッチャーに組み替えていただきました。

 中継車にはVE/VTR/TD(SW)/D/AUDの5名が乗り込みます。発電機の管理はドライバーさんが行います。

小型ハイビジョン中継車
HDW-1600
 中継キャメラはHDC-1600を4台使用します。中継車までは光ファイバーケーブルで繋がり、キャメラのコントロール、リターン1/2、グリーンタリー/レッドタリー、インカム2系統が利用できます。
HDW-1600を振る千里ビデオサービスのスタッフ
 HDC-1600は画質も最高ですが、キャメラマンにとって最重要なファインダーがカラー液晶になっています。カラーだとフォーカスが取りにくそうですが、さすがソニーです。十分な解像度と輪郭信号(ピーキング)によって素速い合焦が可能です。また色による識別が出来るため、リターンビデオの内容の判断も素速く行えます。しかし長時間の収録では少し目が疲れそうです。(もちろんモノクロ表示可能です)
HDW-1600のカラー液晶ファインダー
 ファインダーをデジカメで覗いてみました。実際にはもっとクリアーでシャープな映像を見ることが出来ます。

中継車内部の様子
中継車内部(TD席)
中継車内部(スイッチャー周り)
 小型中継車のオペレートエリアは3人掛けになっていてD、SW、AUDが席に着きます。

←笹邊がオペレートするスイッチャー周りです。アイソレーション(裏撮り)のスイッチングはDさんが行います。裏撮りはカメラマンにグリーンタリーが点灯します。

スイッチャーは須川のHSW-100Fです。
シンプルで使いやすい構成です。須川からはコンパクトなスイッチャーの他、様々なHD製品が出ています。↓

須川のHSW-100F
タムラTS-4000S/2台スタック
 ブースの右端に音声さんのスペースがあります。録音はライン系とオーディエンス系を分離して録音するため、4in/2outのタムラ/TS-4000Sを2台スタックしてHDCAMの4chに振り分けます。

 左下のミキサーは4chの音声を2MIXでモニターするためのものです。普段は12inのものを使っていますが、中継車内ということで小型のものを用意しました。

中継車内部(VTR架)
 車内後部のVTR/VEエリアです。VTR架は普段デジタルベーカムが搭載されているため小型のHDW-M2000では上部に空間が出来ています。フォーマットが進化し、高性能化すると、VTRのサイズは反対に小さくなります。こういうところに技術の進歩を感じます。
CCUリモート
 VEスペースに配置されたCCUリモート。色調整、アイリス調整は全てVEさんが行います。CCUとキャメラは光ファイバーケーブルによって接続されます。
グレーチャートが映ったモニター群

右はグレースケールを撮影して色調整中のVEさんです。4台ともHDC-1600で構成しているため、ガンマも良く揃います。

キャメラ調整中のVEさん
HDW-M2000
 収録VTRはHDW-M2000を2台使用します。1台はプログラム(スイッチングアウト)を収録し、もう1台は裏スイッチングを収録します。DVCAMのDSR-2000と同じ大きさでHDCAMですから、とても密度が高いVTRといえます。
HDW-M2000はHDCAMだけではなく、デジタルベーカム、MPEGIMX、ベーカムSX、ベーカムSP、そしてオキサイドの初代ベーカムまで再生でき、アップコンバート及びダウンコンバートも出来るマルチフォーマットに対応したVTRです。フォーマットが変わってもカセットの大きさを変えなかったソニーの知恵と言えるでしょう。ただし同じサイズのカセットであっても家庭用のベーターマックスは再生出来ません。

HDW-750
 番組の内容にボリュームを付けるために4CAMのEFPとは別にENGも回しました。キャメラは楽屋などをノーライトで撮影するため、高感度(2000Lux/F10)のHDW-750です。これまで使用していたHDW-700Aの2000Lux/F8よりも2/3絞分高感度になっています。大差ないようですがノーライトでは約2倍の感度が威力を発揮します。
CAM-1
 今回の収録では東通さんからキャメラマン1名、VE、VTRを出していただきました。
 花道の横に置いたCAM-1は千里ビデオサービスの邑久と同じく女流キャメラマンです。宝塚歌劇の収録を担当されている方で、千里ビデオサービスとは今回初めての現場ですが、とてもいいキャメラワークをしていただきました。→

 センターの2台はおなじみの溝野さんと新人君。一昨年から千里ビデオサービスのライブ収録などで修行中の若きホープです。ENGはまだまだですが、EFPではタリー、リターンも良く見て、バンドなどではハンディーもこなすようになりました。↓

CAM-2/3
CAM-4
 客席上手のCAM-4の担当は邑久です。この道20年のベテランになってしまいましたというと、歳がバレるので嫌がりましが、すでにベテランといえるでしょう。ただしENGは絶対振らないといいます。理由は「あんな重い物は嫌」だそうです。たしかに体重の1/5のカムコーダーは大変です。→
 いよいよ本番です。
音声の今西君も笹邊も緊張に包まれています。しかしキャメラマンが優れているので、指示する必要もなく淡々と本番が進んで行きます。中継車の中ではカチカチとスイッチの音だけが響き、それがキャメラマンのインカムに伝わります。
本番中のSW(笹邊、今西)
本番中の客席(CAM-4)
 本番収録中のCAM-4の邑久。
本番中や仕込みなどの現場写真を今回から千里ビデオサービスの若手写真部が同行して撮影しています。駆け出しのスチルカメラマンにとって、現場レポの撮影はとても良い修行の場になります。若い人を指導することも笹邊の仕事です。

可搬式キャリーングシステムによるハイビジョンスイッチング収録
キャリーングシステムのCAM-2/3
キャリーングシステムのSW周り
 中継車での収録現場に続いて、同シリーズで中継車が利用できない現場がありましたので掲載します。現場は客席内に3CAM/EFPを組み、キャメラはHDC-1600/3台とHDW-750/1台で行いました。VTRはHDW-M2000/2台です。スイッチャーは中継車から外した須川のHSW-100Fです。
 VEスペースが無くこの現場では下記のようなモニターでVEさんはアイリスを確認しています。3CAMの現場ではとても便利な製品で、千里ビデオサービスも導入することにしました。
VEさんのモニター
 千里ビデオサービスでは加速的にハイビジョン化する世の中の流れに合わせて、様々なHD対応を行っています。収録は放送用HDCAMカムコーダーを自社保有することで敏速に対応し、さらに業務用HDVも複数台保有することで低価格なHD制作にも対応しています。BS朝日で放送されたハイビジョン90分番組「教王護国寺・東寺 美に秘められた心の世界」〜虚空を結ぶ千二百年ロマン〜もHVR-Z1Jのみで撮影しました。
 将来の素材利用を考慮するとDVDの制作であってもハイビジョン収録が有利だと考えます。またSDの16:9で撮影した物よりHDCAMで撮影し、ダウンコンバートして編集したプログラムの方が高画質だと言えます。

HD収録のお問い合わせは下記へお願いします。
Eメール info@svs.ne.jp