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Panasonic AJ-HDC27F(バリカム)による720/60Pハイビジョン撮影

 イベントで送出するハイビジョンドラマの撮影が決まりました。コンペの結果、藤田監督が書いたストーリーに決定し、千里ビデオサービスが企画、制作、撮影、編集の全てを受注しました。作品は過去と現在が交差する物語です。脚本を書いた藤田とは十数年の付き合いになります。問題はロケ地の選定でした。ハイビジョンと言うことで細かな部分にもこだわりが必要です。五つの候補地から大阪府下の某所にある民家に的を絞り撮影協力の交渉開始です。
ロケ地候補の玄関先と坂道
ロケ地になる民家と交渉中の邑久
 撮影技術だけではなく、制作、渉外とオールマイティーにこなす邑久が交渉を担当。
 何をどう頼んだのか、早速室内を見せていただけることになり、シチュエーションの確認をします。
民家の座敷
 陽光の差し込む座敷と縁側があり、最近の住宅では珍しくなった木製の建具になっていました。特に外側のガラス戸がアルミサッシではなく木製になっています。まさにイメージ通りの住宅です。

 主役は「天満のとらやん」で知られる元劇団コーロの名優「村上嘉利」さんです。千里ビデオがこれまでにコーロの自主公演を多数収録してきた経緯から快く引き受けていただきました。そして子役2名と大人1名、さらに声の出演を合わせて5名です。村上さんは撮影の前日まで新潟公演という多忙の中、本番までに役作りをしていただきました。

座敷から見た縁側

スカイボーイ  撮影はクレーンショットから始まります。クレーンのオペレーターは色々な現場でお願いしている榊原の戸高さんです。見事なクレーン裁きを見せてくれます。
 今回キャメラは笹邊ではなく溝野君が担当しました。彼とは15年ほどの付き合で、笹邊が信頼を寄せるキャメラマンです。NHKや民放の番組で彼の名がクレジットされているのをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。
 今回藤田監督はスケジュールがタイトで、撮影日に大阪へ出向くことが出来ないために笹邊が監督を務めました。
スカイボーイ全景 スカイボーイのバケットから撮影するキャメラマン
レフ板を準備する照明技師
 照明部はおなじみのマジックハンドから3名来ていただきました。写真は技師の鎌田さんです。マジックハンドには自転車好きが多く、彼もかなりのサイクルファンです。別な現場の時に自転車で盛り上がってしまいました。笹邊はフレーム設計からホイールの編み上げまで行うヘビーなサイクルマニアだと言うことはプロフィールでも紹介しています。
Varicamで撮影中の溝野キャメラマン
 720Pでの撮影ですが、最終1080iに変換するため、30Pではなく60Pで撮影します。ノンリニアの計算時間が30Pの2倍になるためにレンダリングには不利ですが、最終出力を考えると毎秒60枚の画像が有利になります。
録音技師
 録音部はサウンズ・ユーの樅野さんです。サウンズ・ユーさんには番組収録等でお世話になっています。

 室内撮影ではお借りした家屋に汚れや傷を付けないようにしなければなりません。テニスボールや養生マットは必需品です。右の女性はべっぴん照明技師のKちゃんです。最初にマジックハンドから来てくれたのは金田たつえさんのロケでした。何年照明しているんでしょうか?年齢はわかりませんが、べっぴんさんです。
 スタッフが手にしている香盤表はOFFICEで作成しています。
この日のタイムラインをこちらでご覧いただけます
(拡大自在なSVGスケーラブル形式でもご覧いただけます)
モニターを確認する笹邊監督 名優村上嘉利
ローアングル三脚と溝野キャメラマン
 ローアングル撮影では三脚を五徳よりも安定なジッツオに交換します。
 EFP撮影システムのアイリスやトーンの調整はVEがリモートによって行い、キャメラマンは撮りに専念します。
波形を確認するVEさん 波形モニターとピクモニ

 午前中の撮影を終えて昼食です。撮影機材は家人の邪魔にならないよう一カ所に片付けます。
バリカムとビンテン
 照明は外光ミックスになるためHMIを使用しています。
音声は笹邊愛用のシグマSS-302とラムサ。バッグはTATONKA製のコンパクトなものです。そしてガンマイクは当然MKH-416。
照明機材 音声機材
 昼食後のひととき、事務所が同じ子役達はとても楽しそうです。スタッフの休憩場所として家人から終日納屋を提供していただきたいへん助かりました。
休憩時間の子役達
石油ストーブで暖められたドリンク
 今回のロケは2月12日という酷寒に行われ、底冷えのする寒さでした。スタッフ用に持ち込んだ石油ストーブの上にはお湯をかけ、常に熱い飲み物を用意しました。
宅配便の配達シーン
 昼一の撮影はシアターOMの役者「野田マニア」君です。宅配便の配達が彼の役です。まだまだ若手ですが随分と成長したと思います。代表の稲森誠さんの指導の賜と言うべきか、野田君の才能と言うべきか。まあどちらも大きな要因ではあります。
制作スタッフ
 今回の制作スタッフはMAICOKOZOKが担当しました。ケータリングから役者の送迎、撮影準備などの様々な仕事があります。そして忘れてはならないのがこの現場レポートの写真撮影。今回はKOZOKが担当しました。これは次のシーンで使うカンテキ(七輪)の火を熾しているところです。

 じつはこのカンテキ(七輪)はコーナンで買った新品を事前に醤油とバーナーでヨゴシを入れたものです。使い込まれたように見えるでしょう。

コーナンで買ったカンテキ
カンテキのシーンの撮影
 カンテキのシーンの撮影開始です。
このとき急に雪が舞い始め、撮影は一時中断です。吐く息が白くなるのは氷で冷やせば良いのですが、キャメラの前を舞う雪は困ります。シーンの設定が8月ですから・・・・
撮影待機中
 待機中はカーディガンを羽織っていますが、本番は下の写真のように夏の衣装です。子役達はずいぶん寒かったと思いますがよく頑張ってくれました。
真冬に真夏の撮影
徳永君のサービスカット
 これは徳永君のサービスカット。

 大きい方が徳永君で、小さい方が日下君。ともに同じ事務所に所属し、番組などにも出演しています。二人とも撮影日までに台本を覚えてきてくれたのでとてもスムーズに進行できました。雪待ちさえなければオンタイムだったでしょう。

昆虫採集の撮影シーン
 真夏のシーンの撮影です。小道具は昆虫採集の網と虫かご、そしてカブトムシです。衣装は半ズボンとランニングシャツ。日下君もよく頑張ってくれました。

 下は照明部さんがHMIライトをセットしているところです。電源は発発を使用しています。街灯はは時間制になっていて、この時間帯は電力供給されていません。もちろん盗電は犯罪になりますから、絶対にしてはいけません。

照明部さんがHMIライトをセット
トーン調整中のVEさん
 照明部のおかげで真夏の日差しが再現できました。有り難うございます!

 VE卓は可搬式で、どこまでもキャメラに付いてゆきます。この日はVEさんに助手が付きました。おかげで移動は非常に素速く行えました。

後回しになったみかんのシーン
 雪待ちの影響で後回しになったシーンを撮影していますが、シーンは野田君の続きで昼下がりです。しかしあたりはすでに夕闇に包まれています。ここは再びマジックハンドマジックの登場です。

 家の外から2.4kwのHMIで人工太陽を用意してくれました。ご近所の皆さん、驚かせて申し訳有りません。

2.4kwのHMIを準備する照明部さん 2.4kwのHMIライト
 戸外の助手さんも寒さに震え上がっています。ご苦労様です。撮影も一段落し、次にラストシーンを撮りますが、ここは熱い飲み物で一息入れます。
熱々のお茶 ラストシーン
 ラストカットが救急車のサイレンで暫し中断しましたが、ほどなく全てのシーンを撮影出来ました。村上さんは明日からまた公演があり、子役達は学校が始まります。
みなさんお疲れさまでした。
村上さんと日下君

 今回の作品は当初ポスプロを使う予定でしたが、カノープスからバリカムオプションが搭載されたノンリニアシステムが発売されたため、自社編集に切り替えました。急遽導入したHD編集システムですが、HD導入前に行ったオフラインSD編集のPremiereから書き出したEDLをEDIUSで読み込むことによりオンライン編集はスムーズに実行できました。システムはHDV/DVCAM/XDCAM/DVCPRO HD/VARICAMに対応しています。
バカムオプションを搭載したノンリニアシステム
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