2006年01月10日(火)
Panasonic AJ-SDX900
 Panasonic AJ-SDX900とはパナソニックが出している放送用テレビキャメラだ。
 現在1/2吋幅のテープを使用する放送用フォーマットとしてはHDCAMとβCAM(アナログ及びデジタル)が主流だ。そして家庭用のDVテープと同じ1/4吋テープを使用するフォーマットはDVCPROとDVCAMになる。DVCAMはもともと放送用途ではなく業務用途向けに開発されたフォーマットで、基本的には放送用キャメラは無い。しかし現実的にはソニーDSR-570やDSR-1(VTR)、そして池上のDV-7Wなどが放送用途に使われている。PanasonicのDVCPROは業務用の25Mbpsの他に放送用50Mbps及び100Mbpsにも対応し、今回検索キーワードになったAJ-SDX900はDVCPRO-25/50対応の16:9/4:3スイッチャブルの放送キャメラになる。
 では放送用と業務用では何処が違うのだろうか?
 機器の性能ではそれほど変わらないというのが答えだ。では何が違うかというと、操作性と堅牢性である。以前はソニー、池上、松下はそれぞれ操作性が異なっていた。池上好き、ソニー好き、パナ好きなど、キャメラマンは1つのキャメラに慣れると、どうしても慣れたキャメラを選んだ。しかし今はソニー以外のメーカーも全て放送用はソニーの操作性に準じている。以前池上はレンズの取り付けマウントがB-3という池上マウントだったものをソニーや松下のB-4マウントに統一した。こうなるとキャメラマンは非常に助かる。どこのメーカーのキャメラを使っても基本的な操作性が同じなので、慣れないキャメラによる操作ミスが無くなる。
 しかし操作性の統一は放送用にのみ適用され、放送用の基本スタイルとなったソニーにおいては最近まで放送用と業務用で操作性が異なっていた。スイッチの位置や方向が違っているため現場で戸惑ってしまうことがある。その点ではソニーに合わせた松下、池上は有りがたい。
 AJ-SDX900はDV系テープを使うDVCAMより一つ上のランクになり、放送用としての性能、堅牢性、安定性を持ち、操作性はソニー同様。逆にソニーも後を追うように新しいDVCAMシリーズでは操作性を揃えてきた。歓迎すべき対応だが、あくまでソニーはDVCAMを業務用に位置付けている。その点ではAJ-SDX900は放送用1/4吋SDキャメラレコーダーとして唯一の製品となり、BVWシリーズに慣れてきた我々としては、松下製だがソニーよりもソニーらしく仕上がったキャメラだと思っている。
 AJ-SDX900の性能は非常に優れ、会社でも様々な現場で使用しているが監督の評判はいい。そして技術を担当するVEからも調整しやすいという評価を得ている。しかし操作性が同じになるとメーカーは大変だ。キャメラの良し悪しを同じ土俵の上で比べられる。さて、どのメーカーのキャメラが最も美しい映像を見せてくれるのだろうか?
 メーカー技術者の絵作り、絵心が問われる時代になったと言えるだろう。


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| 映像制作・撮影技術 |
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