VUメーター
デジタル時代になっても捨てきれないものがある。
VUメーターがそうだ。VUとはVolume Unit(ボリウムユニット)の略で、日本語にすると「音量単位計」ということになるだろう。
欧州ではレベル監視用にピークメーターが使われるようだが、日本やアメリカではVUメーターが広く使用されている。理由はわからないが、数値には表れない音量感を表示してくれるVUメーターは「人が聴く」音の管理には大変便利が良い。
ピークばかり気にすると、どうしてもレベルが低くなりすぎる傾向があり、力強い録音にはVUの方が適しているようだ。しかし録音機がデジタル化したことにより、オーバーレベルに対して非常に弱くなってしまったことも確かで、規定を少しでも超えるとアウトだ。そういうことを考慮して業務用デジタルVTRの場合は家庭用のデジタルVTRの基準値の約1/10になる-20dBが基準値とされ、オーバーレベルに余裕を持たせてある。
オープンリールテレコを38cm/sや76cm/sで走らせたアナログ全盛時代にはVUを振り切らせるような録音をしなければフルオーケストラの迫力は表現できなかった。そして優れたアナログ機器はそういった過大入力に絶えるように設計されてもいた。デジタル時代にVUメーターは矛盾するようだが、やはり「人の耳で聴く」音楽にはVUメーターは不可欠である。しかもデジタル機器の特性を十分把握した上でピークレベルも監視しなければならない。技術者はより忠実な音場再現のために、アナログ時代以上に厳密かつダイナミックなレベル監視が要求される。
我々が使うデジタルノンリニア編集の世界においても最終の音量レベル調整はやはりVUメーターであり、この優れたメーターはデジタルとアナログの要になっている。
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2005年7月9日
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映像制作・撮影技術 |
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こんにちは。古い書き込みにコメントが来て驚いています。
ピークだけでもVUだけでも辛いですね。
それと最近気になるのはリミッターの効きすぎた音。
とても気持ち悪いですね。
その面で、両方使いたいものです。なかなか、辛いものがありますね。
>リミッター です。聞いてて聞くに絶えないです。
リミッターというか、コンプレッサーといいうべきでしょうか。
最近までのFM放送はやはりコンプが効きすぎていましたね。
徐々に改善されているようですが、ソースとなる音楽がすでに
圧縮されすぎていて、波形ではそれほどレベルは高くないのに、
音量感だけはものすごいものがあります。
ハイローズや、ガガガSPなんか特にそうです。
少し遡ると小室系のダンスミュージックもきつかったですね。
まあ、それも流行というものでしょう。
我々もENG撮影では突然の過大入力に対する保険として、
一応入れておくと安心というものですが、シグマのミキサーなどは
スレッショルドを+9dB〜+12dBあたりに設定しています。
うちでは頼みませんが、中にはVOAやFENみたいな、リミッターガンガンの音を録る音声さんもいるようです。育ってきた時代の音楽環境が影響しているのかもしれません。