2006年10月23日(月)
縦位置と横位置
 写真時代の同僚から「ベーやんの写真は横位置が多くなったね」と言われた。ベーやんとは当時のニックネームだ。私が写真を生業にしていた頃は印刷物の仕事が多かったのでハッセルブラッドやローライフレックスによる6×6サイズで撮影していたが、モデルやポスターは必然的に縦フレーミングになる。6×6の正方サイズなら縦横の区別は無いように見えるが、ノートリミングで無い限りは縦の絵撮り、横の絵撮りは撮影時に決まる。個人的には真四角が好きで日常美術館やアサヒカメラへの発表はノートリミングの真四角だった。
 私が写真を始めた頃「縦位置で撮ると上手く見える」と言われた。確かに普通の人は素直に写真機を構えるから縦位置は物珍しく見えるらしい。縦位置が上手く見えるかどうかはさておき、印刷分野においては大多数のものが縦になる。雑誌のグラビア、ポスタなどである。例外的に建築分野のパースや車のデザイン画などは横位置が普通になる。しかしそれらは決まったものではなく、横位置が求められれば横になり、縦が求められれば縦になる。
 ところが、映画やテレビはそうはならない。横位置は絶対的なものである。演出的に水平を傾けたり、極端なローアングルはあってもやはりフレームは横長である。動画を生業にして20年以上も経つと自然と写真も横位置を撮るようになる。遠近の対比を考えたフレームの場合も画角を稼ぐために縦に構えたりせず、広角レンズを選んで横フレームで撮影する。最近のデジタルカメラで嬉しいのは写真と同じ3:2やHDサイズ(1920×1080)が備わっていることだ。35mmカメラと違和感を感じることも無く、デジカメで撮影した静止画をトリミングせずにハイビジョン素材として利用できるのは好都合だ。
 4:3の従来方式の場合は3:2の写真に比べて左右が狭くどうしてもクローズアップが多くなるが、16:9のHDは非常に写真的であり、また映画的なサイズだ。情報量が多いため、ワンカットの時間は自然と長いものになり、絵作りもズーミングは用いず、トラックインなど画角の変化しないものになる。
 知らず知らずのうちに心の画角が横位置になったしまったようだ。その所為か、最近縦位置の写真が新鮮に見えることがある。

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| 写真撮影・カメラ機材 |
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