2007年01月23日(火)
映像制作 相場
 「映像制作 相場」である。
 「相場」とははてなダイアリーによると
1.市場で決まる商品の値段、価格
2.市場の変動を利用して差益を得ようとする投機的引
3.妥当とされる金額や方法
ということだ。つまりこの場合は3の「妥当とされる金額や方法」ということになる。
 ネットを検索すると映像制作の費用はピンからキリまで、かなり大きな開きを生じているのが判る。中にはVP1本7万3500円(シナリオ別)や、70,000円でキャメラ2〜3台。スタッフ1〜2名で撮影し、さらに編集したDVDが10枚もいただける夢のような価格が出てくる。ところがある会社ではVP1本100〜200万円とも書いている。ではどうしてそんなに大きな開きが出るのであろうか。
 たとえば人件費について言えばキャメラマンの相場は3万円〜3万5千円/日であり、ビデオエンジニアや音声技師、照明技師もほぼ同額である。監督にいたってはVPの場合拘束日数5日で25〜30万、10日拘束する場合はシナリオ込みで50万ほどになる。つまり原稿料と演出費である。またナレーターは44,444円〜77,777円、ネイティブイングリッシュの人になれば10万以上となる。
 VPを作る場合、この他にも特機、ヘア・メイク、スタイリスト、さらには出演者のギャラや制作スタッフ(ADなど)が必要になる。
 人件費だけでも1日の撮影で15〜30万は必要になる。そして機材費である。キャメラ、三脚、モニター、測定器、照明機材、音声機材、特機など10〜40万は必要だ。さらに撮影後の録音、編集、音源費などが必要であり、安く見積もっても50万は下ることは無い。
 冒頭に書いた超低価格な制作費を考えるとキャメラマンと助手の人件費に民生用のDV機材で終わってしまう事になる。もし業務用や放送用の機材を使うのであれば人件費は一切出ないことになる。また逆に人件費を中心に考えれば、機材費は無料という事になる。宝くじでも当たらなければまず不可能である。ただし学生や素人が趣味でボランティア活動としてなら可能かも知れない。
 別に私は怒っているわけではない。こういった価格設定がインターネット上を一人歩きし、本職として映像制作を行っているプロフェッショナル達や業界に迷惑をかけているということを自覚してもらいたいのである。もちろん自由競争の世の中だから、どういう価格設定をしてもかまわないが、機材費も出ない撮影を行った場合、機材の更新やメンテナンスも出来ない。ということは将来値上げするか廃業せざるを得ない事になる。ということは業界だけではなく、クライアントにまで迷惑をかける事になるのだ。
 多くの人達は一度下げた値段は上げることが難しいということを価格破壊の時代に学習したはずだ。また、超低価格で獲得した顧客は価格が上がれば離れるということも知っている。我々技術会社は常に高額な機材、設備投資に追われ、決して大きな利益は得られないが、少なくとも長期間にわたって営業を続けることが出来る利益だけは確保しなければならない。そして経営者は常に従業員やスタッフ、その家族の生活を支えているという意識を持つ必要がある。

2007年1月23日 | 記事へ | コメント(4) |
| 映像制作・撮影技術 |
まさに、私が危惧していることと同じです。
映像制作の価格破壊を試みた業者は、20年以上前からいますが、長く続いた例はほんとに少ないと思います。それだけ、結局は自分で自分の首を絞めているわけですね。
自分で自分の首を絞めるだけならかまわないけれど、一緒に他の人の首まで絞めるような真似は、本当にやめてほしいと思います。
ただ、映像業界で働いたことのない人が映像制作で簡単に起業できてしまう時代でもあるんです。悪気があるのではなく、値付けのノウハウもないかも知れないんですね。
そのあたり、構造的な問題かもしれないです。
こんばんは。
デジタルの進化で非常に安く起業できることとの怖さですね。
確かに私の会社もHVR-Z1Jを使ったコストダウンを行っていますが、それだけでは売り上げダウンになってしまいます。
そのために色々な特機を使うことでボリュームアップを提案しています。次回の撮影ではグライドカムとモノレールドリー、デスクトップドリーなどを使った移動ショットを多用します。
Z1J使用の2日間の撮影ですが、コストはベーカムENG5日相当の0.5M+です。勿論撮影のみで編集はありません。
それだけに撮影技術は問われますが、自分を磨くために新しい事に挑戦していきたいと思います。
でも実際はプレッシャーの重圧に潰されそうになっています。
一度でも制作会社や技術会社に就職して仕事した人ならば、
「VP1本7万3500円」なんていう価格設定は出来ないハズなんですよね。
どういう作品をつくるつもりなんでしょう?
ウチの会社が全ての仕事に対して、
自社で定めた定価を守っているかと言えば、正直言ってそればかりではありません。
情けないですが、極端に安く請け負っている仕事もあります。
長いお付き合いのある代理店などで、どうしても予算が無いけど・・・と言われる仕事もあります。
ただし、人件費は絶対に下げません。
これは自分のブログでも書いたことありますが、
そこまで値切るようであれば断ります。
自分も含めて、映像制作にはお金がかかるということを
周りに認知してもらう努力は続けなければならないと思います。

タクシーで途中どこか寄り道をしたり、目的地を変更して距離が延びればやはり料金は増えますね。編集もこういうことが生じます。そしていくら安いといっても、車検切れの車で一種免許の白タクでは具合が悪いし、十分な保険も必要ですね。もちろん乗り心地も大切です。
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ニックネーム:SENRI
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映像制作/撮影技術会社
(株)千里ビデオサービス
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