2007年04月28日(土)
3009 オイルダンプ
 「3009 オイルダンプ」である。SME9009にオイルダンプが採用されたのはシリーズVからだ。しかし一時シリーズUのオプションとして、というかユーザーの要望によってオイルダンパーが販売されたこともあった。
 シリーズVのオイルダンパーはいたって簡単なものだ。トーンアームのベース側(動かない方)に粘性を持ったシリコーングリスの桶があり、トーンアームに小さな櫂(ボートでいうオール)のようなパッドを取り付けてオイルの中に浸す構造になっている。
 このダンパーによってトーンアームはゆっくりは動くが、早い動きは抑えられることになる。自動車のスタビライザーのようなものだ。パッドは大きさによって3種類あり、白、黒、灰に色分けされている。反りの無いレコード盤では最も大きい物が使えるが、反りが大きいレコード盤ではトーンアームが反りに追従できず、カートリッジのカンティレバーに負荷がかかることになる。そのために超低域の信号が発生すると同時に、トレース能力も低下してしまう。またオイルが柔らかすぎたり、パッドが小さすぎてはオイルダンパーの意味を成さない。意外と調整が面倒である。しかし程よく調整された状態ではトーンアームの共振も抑制されてトレース能力は向上する。そしてオイルダンパーの最も効果が現れる低域の過渡特性が格段に向上する。チューニング如何によっては良くもなれば悪くもなる。つまり両刃の刃である。
 3009シリーズVのシステムはF1カーのサスペンションのようだ。レコード盤がサーキットで、スタイラスがタイヤであり、カンチレバーとゴム、トーンアームの水平回転部分のマイクロピポット、垂直支持部のナイフエッジとオイルダンパーが懸架装置になる。路面(盤面)状況や気温によってベストなチューニングを求められるオーディオなど、今の若者に理解してもらえるだろうか。だが3009の動きは見ているだけで楽しいのである。

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