2007年09月25日(火)
HD編集にカノープス
 「HD編集にカノープス」である。このページがヒットしていた。

 HD編集といっても、ノンリニアで行う場合は従来のSDと大差は無い。640×480の画面解像度が1920×1080に変わっただけである。ただし撮影キャメラや収録VTR、編集環境を構築するハードウエアが全く違ったものになった。これについてはまた後日書くことにするが、リニア編集に比べるとノンリニアでは設備投資が圧倒的に少なくて済む。
 まず編集用VTRの台数だ。リニアでは最低2台、特殊効果を加える場合は3台以上が必要になるが、ノンリニアでは1台で済む。さらにタイトラーやテロップ装置もホストコンピューターにインストールしたソフトウエアで事足りる上に、三次元特殊効果を行うスイチャーやDVEもソフトウエアで行える。設備投資ということではリニアの1/5〜1/10程度で済む。例えば家庭で撮影したビデオもムービーメーカーやiMovieで編集すればパソコン代さえ用意すれば済むことと似ている。一昨日の記事で書いたが、こういうことがビデオ制作の価格を極端に低価格化させている原因だと思えるのだが、リニア編集とノンリニア編集とでは、いったい何が変わったのだろうか。私が思うには結果としてはそれほど変わってはいない。つまりノンリニアでも、リニアでも、目的は同じで、単に手段が異なるだけでしかない。ただし再生用VTRと録画用VTRのみで行う1対1のカット編集ではノンリニア編集には太刀打ちできない。もちろんテロップ装置やスイッチャー、三次元デジタルエフェクト、複数の再生用VTRが備わった状態での比較である。
 私にとってノンリニアへの移行によって最も大きく変わったことといえば、液晶モニターへの移行ではないかと思う。液晶モニター=ノンリニアというのは正しくは無いが、ノンリニアへの移行時期が、ちょうどパソコンモニターの液晶化と同時期だったからである。リニア時代もマッキントッシュは多用していたが、いずれもCRTが標準モニターであり、液晶といえば見る角度によって明るさが大きく変化し、限界角度を超えるとネガに反転して見える粗悪品もあった。これでは映像評価どころか、パソコンのデスクトップとしても使い物にならない。
 それが2004年のアテネオリンピックに合わせたかのようにパソコンモニターやテレビモニターが一気に高画質化(広視野化)した。同時に一般放送も一気にハイビジョン化した。結局この時期が私の会社の液晶移行時期になった。
 液晶化する前は照明が明るいとマスモニが見づらいために、編集室ではモニターへ照明があたることを嫌って下の写真のような照明器具を用いていた。これは私の会社のリニア編集卓の天井に取り付けた照明器具である。
 当時は窓に遮光スクリーンを取り付けて外光が差し込まないようにし、日中でも編集室内部は薄暗くしていた。今でもそういったポスプロは多い。これが液晶になって全く変わった。
 直射光のみは薄いスクリーンで和らげるが、遮光スクリーンは使わずに自然採光を中心にしている。昼か夜か判らないような編集室で夜な夜な作業していた頃に比べると格段に快適になった。もちろん画質評価用のHD/SDモニターにはブラウン管を使用するが、末端視聴者の環境が液晶化している今日では液晶モニターでの画質評価は必須だと考える。
 ノンリニアの効果は絶大だが、それに付随した大きな環境変化は液晶モニターによる編集時間帯の変化ではないだろうか。これからは爽やかな季節を感じながら、気持ちのいい編集が行える。
 今日は中秋。編集室の東の窓から昇りはじめた月を見る。

2007年9月25日 | 記事へ | コメント(0) |
| 映像制作・撮影技術 |
コメントを記入  
お名前(必須)
 
パスワード:
 
メール:
 
URL:
 
非公開:  クッキーに保存: 
※非公開にチェックを入れると、管理者のみにコメントが届きます。
ブログの画面には表示されません。
captcha


※画像に表示されている文字を入力してください(半角・大文字/小文字の区別なし)。
文字が読みづらい場合はこちらをクリックしてください。
小文字 太字 斜体 下線 取り消し線 左寄せ 中央揃え 右寄せ テキストカラー リンク
 

PHOTOHITOブログパーツ


ニックネーム:SENRI
都道府県:関西・大阪府
映像制作/撮影技術会社
(株)千里ビデオサービス
代表取締役&
北八ヶ岳麦草ヒュッテHPの管理人です。よろしくお願いします。
色々出ます

»くわしく見る

バイオグラフィー