撮影技術会社のブログ@映像制作:大阪関西
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2007年12月09日(日)
映像制作 録音 重要
「
映像制作 録音 重要
」である。ミキサーに関することが続いたところにこのキーワードが来た。映像制作における音の重要性については今更述べるまでもないが、ここで改めて考えてみよう。
我々撮影技術に携わるものは一般からは映像の専門家と思われがちだが、実は映像に比べて音の占める割合は映像以上に大きいと言える。例えばテレビのボリュームを絞って画面だけを見ていた場合、内容はほとんど解らないだろう。しかし画面が見えない場所でもその番組の音声を聞くことが出来れば概ね内容は理解できる。
私はNHKのラジオドラマが好きだ。最近ではラジオドラマとは言わず、オーディオドラマと呼ぶようだが、「
青春アドベンチャー
」や「
FMシアター
」、そしてAM放送の「
ラジオ文芸館
」も面白い。聞いていると情景が見えてくる。つまり音のクォリティーが高く、臨場感があるということだ。さらに我々が持つ「印象」に訴えてくる音作りが見事だ。
映像屋がこういう風に言うと、映像を疎かにしていると誤解されかねないので言っておくが、ビデオプログラムはAV=Audio & Visualといわれる様に、音と映像が融合したメディアであり、一方が欠如したのでは成り立たない。映像を支える音であり、音を支える映像が必要である。つまりそれぞれの割合ではなく、それぞれが10割を担っているのである。
少し外れるが、沖縄の海をビデオに記録してもなかなかイメージどおりのコバルトブルーにはならない。「青い空、白い雲、青い海、白い砂」という印象色が不可欠になる。そのためにフィルターワークやカラーコレクションを行う。
音も同様に「印象音」というものがある。小川のせせらぎをそのまま取ればまるで水洗便所のような音になる。銃声もそうだ。以前生駒にある大阪府警の施設へ撮影に行ったが、決して映画のような音はしない。録音技術だけではなく、音効も必要になる。
話を実際の録音に戻すが、我々の耳には様々な騒音から目的の音を聞き分ける能力がある。反射の多いライブな部屋であってもうまく残響を除去してくれるのだ。言ってみれば「クリーンフィルター」である。ところがキャメラに付いた鼻マイクでは残響やノイズもそのまま録音してします。それを「印象音」に近づけるためにワイヤレスやゼンハイザーを用いる。これが音声技術、録音技術であり、一般に言うPAやSRとは異なる。
また、音楽物のライブではPA卓からの2ミックスのラインではどうしようもない音になる。ステージの生音、ホールの反射音などのエアをミックスしなければならない。そしてラインとエアのディレーも補正する必要がある。例えば和太鼓の場合PAさんは皮から出る音をオンで拾って増幅し、それをスピーカーから生音に加える。つまりSRである。ところが録音では全く考え方が異なる。太鼓の直接音で揺るがされた小屋の響きを録らなければ映像と結びついた音にはならない。つまり、フェスにはフェスの響きがあり、歌舞練場には歌舞練場の響きがある。行ったことは無いがカーネギーホール、トロポリタン・オペラハウス、ウイーン国立歌劇場など、皆それぞれに固有の響きがあり、その違いを録れなければ録音芸術にはなりえないのである。
話が大げさになったが、我々はピアノの中にマイクを突っ込む形では録音しない。(PAさんから2ミックスを頂く場合は別)アコースティックなものをアコースティック録ることが第一である。
昔はビデオといっても映画と同様に撮影部、録音部は分業していた。撮影にはMAスタジオから録音技師が来て同録し、映像編集が終わったものにナレーション、BGM、SEを入れて完パケになる。しかしノンリニア編集の環境が進み、市販のほとんどのアプリケーション(FinalCutPro、EDIUS、PremierePro、AVID等)がマルチオーディオトラックを自在に追加できるようになり、映像編集と音編集が同一環境で完結するようになった。つまりキャプチャーから編集、3DFX、文字入れ、MA、DVDオーサリングまで、全てを同一マシーン上で作業できるのである。そうなると編集オペレーターが「音はわかりません」や、MAオペレーターが「映像はどうも・・・」などと言っておられない。これからのオペレーターは映像、音の両方に精通したキャリアとスキルが求められるのである。特に制作予算が限られたVPではなおさらである。
偉そうなことを書いてはいるが、「どういう音が必要か?」「どういうマイクレイアウトがいいのか?」「マイクは何を?」「ミキサーは何を?」「リミッターは必要か?」「サンプリングは?」私も常に音では悩んでいる。悩んで、考えて、考えて・・・・である。
音は目に見えないだけにその影響力は大きい。映像からは簡単に目をそむけることが出来るが、音はよそ見をしていても聞こえてくる。耳をそむけることは出来ないのである。
2007年12月9日 |
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