ダイナミック型密閉式ステレオヘッドフォン SONY DR-27
願いは通じるものである。
FieldReport(2009年03月27日)の「ナレーターさんの事務所で」に書いたナレーターの事務所での話。会社のスタッフがその事務所のナレブースにあるヘッドフォンを見て「僕の生まれた時に出たヘッドフォンです」「初めて掛けたけれど、装着感、音質が抜群」「めっちゃ欲しい!」「くれへんかなぁ〜〜」と、心を奪われたしまった。会社に戻っても話題はヘッドフォンのことばかり。オークションも探したらしいが無かった。
「今度新しいのを持ってきて交換してもらえば?」と言ったが、恥ずかしいらしく乗り気でない。仕方ないので私からその事務所に電話をして事情を説明した。どうやらこのヘッドフォンはその会社の技術担当の個人所有のもので、「本人の意向を確かめてみる」ということだった。
で、翌日早速返事があり、「掛け心地がいいので置いていましたが、気に入っていただいてかわいがっていただけるのならどうぞ」ということである。早速ヨドバシ梅田へ行って極力掛け心地のいいヘッドフォンを探して事務所にお届けし、SONY DR-27を戴いて来た。
確かに掛け心地もよく、音質も十分だ。最近のものに比べて作りもしっかりしている。
最近のヘッドフォンのインピーダンスが32Ωなのに対して、DR-27は8Ωである。また、STEREO/MONOの切り替えスイッチが付いている。ヘッドフォン近代博物館の当時のデータはこうだ。
■価格 \3,300
■型式 ダイナミック型密閉式
■振動板 77oコーン型
■インピーダンス 8Ω
■再生周波数帯域 20-20,000Hz
■許容入力 500mW
■感度 103db/mW
■コード 3mカールコード
■重量 415g(コード含む)
■発売 1977年10月
■販売終了 1979年頃
■備考 ステレオ/モノ切替スイッチ付き
この1977年がスタッフの生まれ年である。1977年には松下がVHS方式のホームビデオ「マックロード」を発売した。また、この年に発売されたものとして「Nikon F2 Photomic A」「Nikon FM」やシャッター速度優先、絞り優先の両方を搭載した「Minolta XD」「Konica C35 AF(ジャスピンコニカ)」などが発売され、王選手(当時)通算本塁打756号達成した。また、タイムボカンシリーズのヤッターマン放送開始した年でもある。
今回ナレータ事務所のご好意で入手できたヘッドフォンDR-27だが、発売当時は生録ブームだった。ソニーに限らずビクターやデンオン、日立、ナカミチなどからも様々な野外録音用カセットテープレコーダーが発売され、78年にはソニーからそれまでのものに比較して大幅に小型化したカセットデンスケのTC-D5が発売された。1枚目の写真を見て判るようにヘッドフォンのコードが短めのカールコードになっているのも生録向けのデザインということだろう。
当時のカタログと同じアングルでDR-27の写真を撮ってみた。最近のヘッドフォンには無いデザインである。1977年発売にこだわるスタッフの宝物が一つ増えたようだ。大切に使ってくれれば私も嬉しい。
ちなみに私が愛用するヘッドフォンはSONYのMDR-7506とPanasonic RP-HTX9とRP-HTX7だ。MDR-7506は録音やEFPの現場用、RP-HTX9とRP-HTX7はENG用である。しかし私がもっぱら撮影時にモニターとして使用するのはASHIDAのイヤホンである。グレーのものが一般的だが、黒色のものは秋葉原のラジオセンターで入手できる。
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2009年3月30日
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記事中の「ニコンF2 ph A」懐かしいです。私が手にして長い間
何度かハワイにも行ったカメラです。最初は FEでしたが、モードラの
MD2 が当時ニッカドで 5コマ/sec ...魅力でした。故障もせずに
良いカメラでした。ボディ/モードラ/バッテリーが分かれていて
それだけ面倒でしたけど。たしか「フォトミックAS」ってのもありましたね。
1977年というのはけっこう色々なものが出ていますね。
わたしはもっぱらFとモードラを使っていて、F2を使うことは少なかったのです。
ただF2 Ph Asは表示がLEDになっていたので暗所では重宝しました。
それと記事に書いているミノルタXDはけっこう気に入って使っていました。
うちのスタッフはキヤノンが好きなのですが、わたしはやはりニコンです。
次はD700狙ってます。