2010年01月28日(木)
古いAIニッコール 135mm
古いAIニッコール 135mm】で検索されていた。
会社ではキヤノンEOSを用いた動画に古いニッコールレンズを多数用意している。
今のデジタル一眼レフに古いレンズが使える・使えないを聞かれれば基本的には使えると言える。しかし注意も必要だ。古いレンズといえば基本的にフィルムでの撮影しか考えられていない。フィルムの場合は表面の反射率が低く、レンズ面とフィルム面で生じるミラーボックス内の反射は少なかった。


ところがフィルムが撮像素子に変わってからはCCDやCMOSの表面で反射した光ががレンズの表面・裏面(後玉表面だけではなく、内部の多数あるレンズ表面でも反射する)を往復・乱反射を起こしてしまう。フィルム時代のマルチコーティングでは抑えきれない反射がデジタル一眼レフではフレアーの大きな原因になるようだ。
次の写真はAi Nikkor 135mm F2.8をNikon D300に付けて撮ったもの。フレアーで暗部が浮いている。(クリックすると大きな画像が開きます)
スタイリストのKさん

Ai Nikkor 135mm F2.8に限らずF3.5のAi Nikkor 135mm F3.5でも傾向は同じでやはりフレアーが生じやすい。スタジオ撮影の場合はレンズに差し込む画角外の光はハレ切りで徹底的に遮断するので問題は無いが、屋外のスナップでは余分な仕事が増えるだけである。もちろん意図的にフレアーを望む場合には敢えてこういったレンズを選ぶこともあるだろう。しかしフレアーが出るからNGというふうに早合点の必要も無い。デジタルデータゆえに画像調整によってフレアーを抑えることも簡単に行える。下の写真は上と同じデータをPhotoshopによって補正したものだ。テレビカメラの場合も基板やメニューに各色のフレア補正があり、電気的にフレアーを抑えている。(クリックすると大きな画像が開きます)
スタイリストのKさん

また、古いレンズが必ずフレアーが出やすいのか?といえばそうではない。同じ135mmでもAi Nikkor 135mm F2Sは上のようなフレアーは起こしにくい。レンズの構成枚数は4群6枚でF2.8の4群5枚、F3.5の4群4枚よりも多いが、ともに4群で構成され、空気と触れている面の数は同じだ。設計者が意識してフィルム面との反射を考慮していたのかも知れないが差だけではない。しかし結果としてデジタルでもフレアーを起し難かったのだろう。
他にも古いレンズで面白いのはAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5などもっと古いレンズが予想外にフレアーが少ないこと。昨年の夏に50-300mm F4.5(Ai-SではなくAi)を多用したがD700、D300での結果は非常に良好だった。クリアーな結像はデジタル専用コーティングが施されていないにも関わらず構造的に撮像面との乱反射を起こしにくいのだろう。古いにも関わらず良好な結果を得ているズームレンズとして確認しているものには
Ai Zoom Nikkor 25-50mm F4S
Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5(フィルタ径72mm)
Ai AF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
Ai Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5(Ai)
Ai Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5S(Ai-s)
Zoom Nikkor Auto 80-200mm F4.5
Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S
また、フィルム時代に銘玉といわれたNikkor UD Auto 20mm F3.5(AI改)やAi Nikkor 35mm F2などはやはりフィルム時代でのものだったようだ。そういう意味ではAi Nikkor 135mm F2.8Sなども同様である。
余談になるがAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5SとAi Nikkor ED 300mm F4 5S(IF)を撮り比べてみたところズームの50-300mmの方がシャープネス、コントラストともに優れていた。もちろん重量はズームが1,950g(AIは2,200g)で単焦点の300mmは990gと倍の重さになるが、50mmまで引けるメリットを考えれば性能も含めてズームに軍配があがる。このズームレンズは私の単焦点>ズームの固定観念を覆したレンズだ。

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