2008年04月10日(木)
放送用フィールドミキサー
 「放送用フィールドミキサー」というキーワードである。ヒットしていたページはこのブログの放送用フィールドモニターの記事だった。
「放送用フィールドミキサー」というキーワードで「放送用フィールドモニター」がヒットしていては具合が悪いが、これは検索エンジンの問題だ。放送用フィールドミキサーといえばやはりシグマのポータブルミキサーSS-302であろう。
 フィールド用ミキサーとしての機能が優れていることは、このSS-302に良く似た類似品が出てきたことで十分肯ける。しかしフィールド用ミキサーといってもこのSS-302はあくまでENGミキサーで、出力は2CHである。これがEFPになれば時に4CHの出力が必要な場合もあり、その時には302ではなく、DC駆動可能なフェーダータイプを用いることになる。
 ミキサーではないが、最近私が撮影したEDIROLの新製品でR-44というフィールドレコーダーがある。SDカードに最高192kHzのサンプリングで非圧縮の4CHデジタル音声が出来る。我々が映像で同録に使うなら48kHzが標準になり、8GバイトSDHCカード使用時で347分の4CH音声が記録できる。
正確なスペックとしては下のようになる。
■8GバイトSDHCカード使用時
●ステレオ録音
16bit/44.1kHz :755 [分]
16bit/48kHz :694 [分]
24bit/48kHz :462 [分]
24bit/96kHz :231 [分]
24bit/192kHz :115 [分]
●4チャンネル録音
16bit/44.1kHz :377 [分]
16bit/48kHz :347 [分]
24bit/48kHz :231 [分]
24bit/96kHz :115 [分]
である。
 レコーダーとしての機能もさることながら、このコンパクトなレコーダーはXLR(キャノン)/TRS(フォーン)コンボタイプの入力を4CH備えXLRではそれぞれ独立してファントム電源も供給できる。コンパクトなボディーのため、出力はPINになるが、
・入力センスつまみ
・入力レベルつまみ
・モニター・レベルつまみ
・ファンタム電源スイッチ(チャンネル1/2/3/4)
・リミッター・スイッチ
・ローカット・スイッチ
を備えていて各入力にPANも付いている。
さらに
・3バンド・イコライザー
・6バンド・グラフィック・イコライザー
・ノイズ・ゲート
・エンハンサー
・コンプレッサー/ディエッサー
・MSマイク・ミキシング
といった機能も備えているのだ。もちろんモニター系の切り替えもある。
これを4in/4outのフィールド用ミキサーとして使わない手は無い。出力をキャノンに変換するボックスを自作して抱き合わせてもフィールド用として十分コンパクトだ。いいかえれば4CH録音機能を備えたフィールドレコーダーミキサーということになる。
「どの子も育つ育て方しだい」という鈴木慎一の言葉があるが、機械も同様だ。いくら優れた設計、製造がなされていても、使い方しだいでは家庭用以下にも放送用以上にもなる。というか十分な能力も発揮せずに使い捨てられることもあれば、能力以上の活躍をして伝説の名器と語られる場合もある。私がプロモーションを撮影したという身贔屓ではなく、純粋に技術屋として惚れ込むことが出来た製品がこのR-44である。
 実売価格はかなり安く、おおむね7万4千円代である。
2CHの同録に4CHを加えて6CHにするもよし、HDVのようなMPEGオーディオに不満を持っている人が非圧縮の4CHを同録に用いても良い。また私のように4CH出力を持ったフィールド用ミキサーとして考えるのも有効な用途である。もちろんサウンドオンリーでのハンドリングも優れている上に、駆動系を内蔵していないので高感度な内臓マイクを使った環境音の録音の場合にもメカノイズを気にせずに使える。これは「使い方しだいでどんどん育つ」可能性を持ったフィールドレコーダーであるといえよう。

2008年4月10日 | 記事へ | コメント(2) |
| 音声・録音・音響 |
2008年04月10日(木) 22:34 by 類似品を買ってしまいました  コメント削除
いや〜、しくじっちゃいました。
SS-302が製造中止だったから、TSにしようと思ったんだけど、SS-302と品番が似た類似品を去年買いました。
最初はSS-302よりちょっとだけ安いこともあって気に入って使いましたがが、TVの現場に出ると他局のVEはほとんどがSS-302なんですよ。今はこれを持っていくのが恥ずかしい思いです。
ヤフオクでSS-302が出ていてもかなり高価です。FS-302を下取りにしてSS-302を買うと15万ほどの追い金という話でした。
FS-302もいいミキサーだと思いますよ。
ただいえることは、中古市場で値崩れしないものを買うことは得策です。その点ではシグマの製品はソニーの放送用と同様に値崩れしませんね。けれども、下取りにして新たに同程度の機能のシグマを買うのは勿体無いと思いますよ。
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