スイッチング収録
「スイッチング収録」つまりマルチキャメラ(マルチカメラ)収録である。今日も品川の「きゅりあん」で3台のキャメラを用いたスイッチング収録を行ってきた。
ファッションショーであれ、音楽ライブであれ、最近では本番の映像演出としてライブ収録の映像をリアルタイムにステージのスクリーンへ中継することが多い。複数のキャメラを使用してそれぞれを収録したものを、後日編集することもよく行うが、ライブ中継の場合は複数の映像をスイッチングして送出しなければならない。
中継技術を理解できていない人が「カメラが3台あれば3カメ、5台あれば5カメ」という理解をしているが、実際にはそうではない。リアルタイムにスイッチングされたことが担当キャメラマンに伝わり、常にどういった映像がスイッチングされているかが伝わらなければならない。
スイッチングされたことを伝えるものがタリーランプであり、ファインダー内で赤く点灯する。またバックタリーやトップタリーとして、ケーブルをさばくアシスタントにも伝わる。もちろんフロントタリーで出演者に現在スイッチングされているオンタリーキャメラがどれかがわかる。
そしてタリーと並んで重要なものが「送り返し」=リターンビデオだ。キャメラマンは自分の覗いているファインダー内でプログラムされた映像を確認できるのである。
上は6台のキャメラをスイッチングしている現場だ。音楽もののライブではスイッチングを行いつつ、各キャメラをそれぞれパラレルに収録するアイソレーション収録を行い、編集時にあらためてベストなタイミングを選んでいく。
VTRの音声トラックにはガイド用に2ミックスのステレオ音声を入れておき、MAでマルチトラック録音した音声と入れ替える。もちろん予算にもよるが、予算がない場合は2ミックスステレオをVTR音声トラックの1/2chに入れ、オーディエンスを録ったステレオエアを3/4chに録音する。
来月大衆演劇を収録する予定になっているが、音声はVTR/2CHとマルチトラックレコーダーを用いる。収録は3CAMアイソレーションで行うが、キャメラマンがリアルタイムに画作り出来るためにはプログラムタリーとリターンビデオは必須の項目である。一応インカムは付いているが、インカムで指示を出しても間に合わない。キャメラマン達とスイッチャーの息が合ったコンビネーションがすべてを決定する。
スイッチング収録の解説は会社のWEBで行っている。
http://svs.ne.jp/home/svs/home/multi/
下の写真はキャメラのシステム調整、色調整を行い、スイッチャーのタリー信号やリターンビデオをコントロールするCCU(カメラコントロールユニット)だ。
こういった現場はキャメラだけではなく、20〜40倍といったレンズや、多くの周辺機材を持ち込んで行うために機材量は非常に多くなる。当然コストも多くなる。
また、下の写真のように中継車を使ってHD収録できるわけではない。まだまだSD機材を用いたマルチキャメラ(マルチカメラ)収録は需要が多い。
http://svs.ne.jp/home/svs/home/genba/HD_OBVAN/index.html
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2008年9月10日
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映像制作・撮影技術 |
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