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2009年、代表取締役年頭挨拶
震災番組取材中のSVSスタッフ2008年12月10日撮影
(2008年12月、防災番組をHDCAMで撮影するSVSスタッフ)
 
株式会社千里ビデオサービス 代表取締役 笹邊幸人

 明けましておめでとうございます。皆様方には平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。本日、2009年の年頭にあたり所信をのべさせていただきます。

 昨年は3月にNTTグループの次世代ネットワークサービス「フレッツ光ネクスト」の全国展開が開始されました。その後、地上波テレビ放送のIP再送信が5月に、またNHK地上波テレビ番組のネット配信サービス「NHKオンデマンド」が12月に開始されるなど、通信と放送の連携が本格的に開始された年といえます。
 ところが史上最高値の原油高による原材料費の高騰、更に9月中旬にサブプライム問題に端を発したリーマンショックを受けて米国をはじめ、世界は急激な金融不安に陥りました。それは我々がかつて経験したことのない実体経済の悪化へと発展していきました。そのため多くの企業が、会社存続の為に非正規社員の雇い止めや解雇、更には正規社員の整理解雇にも手をつけざるを得なくなり、失業問題は社会不安を煽り、将来に不安を抱く消費者の買い控えが起こるなど、マイナス方向への連鎖反応を起し始めました。

 毎年新年を迎えて思い出すのが「阪神淡路大震災」です。昨年も防災関係の番組制作のために撮影技術協力をさせていただきました。その取材が記憶から薄れていくあの日を鮮明に思い起こすきっかけとなりました。14年前、地震発生の翌日に三宮に入った私たちが見たものは再生不可能を思わせる惨憺たる光景でした。しかし多くの人たちの知恵と努力によって、神戸も今では震災以前の活気を再び取り戻しています。「不況」「雇用不安」など将来に不安を抱かせる要素は数多くありますが、決して未来が無いわけはありません。知恵、努力、人間の英知は必ず今日の状況を乗り越えることが出来るでしょう。

 代表取締役として最大の責務はスタッフの雇用維持、賃金の維持です。予算削減の影響でHDCAMを中心とした放送用の撮影にも低価格化が求められています。これまで通りの運営では値下がりを続ける制作費、技術費に対応することが出来ません。昨年も放送素材としてHDCAMだけではなく、HDVによる取材が多くありました。もちろんHDCAMとHDVを比較することは愚かなことで、それはまさに3リッターのスポーツカーと軽自動車を比較するようなものです。しかし軽自動車といえどもチューニング次第ではレースカーにもなります。自動車を例に挙げましたが、これまで各種レースに参戦してきた自動車メーカーがF1やWRCからの撤退を表明しています。私はそれには反対で、最先端技術を伸ばすのはレースだと考えます。幸い映像の世界では双璧のメーカーやベンチャー企業が日々激しいレースを繰り広げ、素晴らしい技術革新を推し進めています。放送や企業ビデオの世界では今後益々ローコスト化が求められるでしょう。そしてメーカーはその要求に応えられる新技術、新製品を提供してくれています。

 千里ビデオサービスではHDCAMと並行して2005年よりHDVカムコーダーHVR-Z1Jを運用してきましたが、新たに昨年12月に発売されたHVR-Z5Jを導入いたしました。目的はHDV収録の高感度化と複数の小型カムコーダーによるマルチカム収録です。そのためにリモートコマンダーやタリーシステムなどの周辺機器も充実させ、従来よりも低いコストでのシステム運用を可能にしました。HDVやXDCAM EXなどのCMOS撮像素子とMPEG圧縮、半導体記録を利用したシステムが将来メインのシステムには成り得ないとしても、メモリー記録やSSD(Solid State Drive)といった半導体記録方式のローコストシステムが厳しい時代の救世主となると考えています。「不況の時には設備投資を」と語ったのは阪神淡路大震災の1ヶ月前に亡くなった私の父ですが、今回の導入は厳しい時代を打破することを願っての設備投資です。

 今年は景気が良い時以上に多種多様な情報発信が必要になるでしょう。そして企業経営、営業活動、商売にとって、インターネットなどのITを活用したローコストなパブリシティが効果を発揮するのではないでしょうか。千里ビデオサービスは必要な時に必要な機材と必要なスタッフを、求められるクォリティとコストをバランスさせたシステムを「撮影のオンデマンド」として、無駄を省いたリーズナブルな費用で提供します。
 厳しい時にこそ、真のイノベーションが生まれます。2009年も千里ビデオサービスは時代に最適化した技術を提供するため、技術向上にまい進して行く所存です。そして本年も千里ビデオサービスは「身近で、信頼できる技術会社」であり続けるよう、一層の努力をしてまいります。

 本年も倍旧のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに、末筆ながら皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
(2009.1.1箕面にて)

電子カルテシステムのVP撮影で使用したHVR-Z5J
(2008年12月、電子カルテシステムのVP撮影に使用中のHVR-Z5J)

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