2006年05月29日(月)
タムラ TS-4000Sという検索。他にもTAMURA TS-4000SやTS-4000Sなど、タムラのミキサーに関するキーワードが多かった。理由はわからないが、どこかの局の中継車ででも見て興味が沸いた人なのかもしれない。
TS-4000Sは1985年に開発され、小型中継車やEFP現場でよく使われていた4chミキサーだが、必要以上に小型化していない上に、使用パーツのグレードが高いために機械的にも電気的にも非常に丈夫だ。私の会社が購入したのは会社を設立した1987年だが、非常に気に入って、のちにもう一台追加したくらいだ。2台のTS-4000Sは今なお性能劣化することなく現役で動いている。これは内部に使用されているコンデンサーの規格に余裕があるためかと考えている。TS-4000Sは後にAMX4Sというモデルにマイナーチェンジされたが、非常に寿命の長い製品だ。
私が若い頃タムラというとサンスイやタンゴと並ぶ音響用トランスのメーカーとして有名だった。当時趣味で管球式アンプの回路設計を行っていたが、タムラのトランスは性能だけではなくデザインも美しかった。2A3や300B、KT88などの銘球とともにシャーシに組見上げたアンプは美音であると同時に、眺めていても美しかった。
そんなタムラが田村ラヂオ商会を開業したのは1924年(大正13年)である。自社ブランドのラジオ販売や電気蓄音器、低周波トランスの製造を行い、ポリドールやNHKにも納入していた。また戦後は国産初のトランジスタラジオにタムラのトランスが採用された。そして放送用ワイヤレスマイクや放送番組製作用無線連絡システム「ワイヤレスインターカム」を開発している。1964年にはワイヤレスマイクが東京オリンピックで大活躍している。
面白いのはSHURE社のポータブルミキサーFP32、FP42もタムラが開発していることだ。ENGでは普通シグマのミキサーを使うがシュアーのFP31やFP32もよく使う。梨田監督をインタビューしたときもFP32を使用していた。(普段私はキャメラマンであり、テクニカルディレクターだが、時に録音技師として動いたりもする。日本音響家協会の正会員である。)
大変技術力のある会社で、従業員6,758名の大企業である。そして便利なことに、放送機器の西日本営業所が吹田市の江坂にあると。部品の調達など、私の会社にとっては大変便利だ。
TS-4000Sの写真は会社の機材紹介のページのものだが、左に写っている写真はソニーのEFPミキサーMXP-29だ。TS-4000Sは入力回路が4系統しかないため、多数のマイクを使う場合にはチャンネルが不足する。こういった場合はMXP-29を使用する。チャンネル毎にファントム電源がON-OFF出来、トークバックも備えているため、スタジオ撮りや簡単なライブ収録で重宝する。またSKB製のポップアップケースに収めているため、可搬性、操作性に優れている。うれしいのはタムラやシグマのENGミキサーと同様にバッテリー駆動ができることだ。
技術会社にとって機材は命である。時に過酷な状況で使用されるが、正しいメンテナンスを実施することで、長期間の性能維持が可能になる。フォーマットが大きく変化する映像機器と異なり、音声関連の機器は変化が少なく、稼動期間が非常に長いといえるだろう。
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2006年5月29日
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2006年03月06日(月)
マルチオーディオがキーワードだ。
最近MAについての問い合わせが多いと思ったら、検索キーワードにマルチオーディオやMA編集がけっこう有った。ググってみるとMA編集では603,000件中1件目とすばらしいSEO効果である。またヤフーでもMA編集は4位に出ていた。MSNではマルチオーディオが194,470件のうち1位を射止めていた。けっこうなことである。
映像を編集するには現場の同録音声だけでは出来ない。音楽や効果音など、様々な効果が必要になる。上の写真はMA編集に用いるLogicのデスクトップだ。映像と同時に流れる音声のトラック数は完成版では基本的に2トラックになるが、編集時は同録2ch音楽4ch、効果音2chは最低必要になる。コンピューターを使うまではアナログマルチトラックレコーダーやADATのようなデジタルMTRを使用した。SVHSテープを使用するADATや、DA-88のように8mmビデオテープを使うマルチオーディオテープレコーダーはビデオのタイムコードを追いかけるチェイス機能があり、ビデオと同期した音声トラックが得られた。写真は弊社の編集室にあるFOSTEXのADATだ。
今ではMTRもハードディスクになり、トラック数や時間の制限がなくなった上、音質も向上した。複雑なものはポスプロの三和ビデオセンター(下の写真)を利用する。MA専門のオペレーターは映像の編集とは一味違うセンスを持っている。
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2006年3月6日
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2005年12月14日(水)
撮影現場 モニター ヘッドホンというキーワードだ。
検索されるのはSONYのMDR-7506を紹介しているページである。日本では逆輸入モデルだが、アメリカではMDR-CD900STやZ900という民生モデルよりも人気が有り、私もハワイロケで現地の音響スタッフだったClay Nakasone氏に貸してもらって気に入ってしまった。彼の薦めで購入したが価格は$100弱でCD900STやZ900よりも安かった。今ではヨドバシなどでも扱うようになり以前よりも入手しやすくなている。
私がモニターヘッドフォンを選ぶ場合はやはり第一にフィット感である。着け心地がよくないと長時間の仕事では苦痛になる。次が音質である。7506の場合、音質は水準以上で問題は無い。ただし民生機のようなマイルドな聴きやすさは無い。「美しいものはそのまま美しく、そうでないものはそのまま」である。歪やノイズはストレートだ。要するに自分のヘッドフォンの特性を理解し、SP再生した場合の結果をイメージ出来ることが重要だ。
ヘッドフォンについて講釈を述べているが、一応私も日本音響家協会の正会員ではある。「撮影現場 モニター ヘッドホン」の他、同じ日に「映画 現場 モニターヘッドフォン」での検索もあった。
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2005年12月14日
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2005年08月01日(月)
検索には様々なキーワードが有るが、調べものをする場合に便利な言葉が「・・・・とは」だ。「ファントム電源とは」の他にも「EFPとは」などが上がってくる。私もGoogleで「共謀罪とは」を最近検索に使用した。なんとか今期の国会では見送りとなりほっとしているところだが、もし共謀罪なるものが成立したら大変なことになる。業界の人間は共謀罪にあたるような会話を好むようで、私の周りでも「干す」とか「豪い目にあわす」等々、危険な会話が多い。共謀罪が施行されると戦前の軍部、官憲主導時代の再来である。もとは「国際」社会でのテロの予防を目的に審議されたらしいが、いつのまにか「国際」は消えているそうだ。この件については今後も動向に注意しなければならない。
話をもどすが、検索キーワードに「とは」の一言を付加することで、探しものにたどり着くスピードはかなり向上するようだ。
ちなみに「ファントム電源とは」の答えだが、コンデンサー型マイクロフォンの電源供給方法の一つで、一般的に48Vを供給する。しかし独特の供給方法によって端子間に電位差が生じないため、「電圧が見えない」ということを「幽霊」に喩えて「Phantom Power」と名づけられた。日本では「Phantom」をそのままカタカナにしファントム電源と呼ばれている。しかし最近では音声スタッフの間で「ファンタム」と呼ばれることが多い。原因はマイクメーカーのカタログに「ファンタム48V」と記載されていることによるようだ。しかし日本では「Phantom」をカタカナにすると「ファントム」となり、決して「ファンタム」とは云わない。MSNサーチで「ファントムとは」を検索すると1274件が上がり、「ファンタムとは」になると2件しか出てこない。「ファンタム電源」とはとても「幻想的」な電源なのかも知れない。
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2005年8月1日
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2005年07月18日(月)
ニュース等で見かけるインタビューマイクの殆どはこのマイクだ。インタビューマイクの定番はとしてシュアーSM63Lの地位は揺らぐとことは無い。
今では一般家庭からレコードプレーヤー(アナログレコード盤のこと)の姿は消え、殆どがCD、MDになってしまった。このプレーヤーに使うピックアップカートリッジとして不動の地位を築いていたのもシュアーである。V-15typeI/II/III/IVとマイナーチェンジしつつ、アナログレコードの世界に君臨してきた。もちろんMCタイプのオルトフォンや国内メーカーのデンオンを支持するユーザーも多かったが、そのユーザー達もV-15だけは認めていたのである。
そのシュアーが作ったインタビューマイクがSM63/63Lである。もちろんPA用の57や58、汎用の565なども有名だが、映像業界ではSM63/63Lに決まってくる。電源不要のダイナミック型でスタイル良し、音質良し、低タッチノイズである。ニュース番組を気にして見ていただくといかに63Lが多いかをおわかりいただけるだろう。明日は彦麻呂さんがレポーターを勤める番組の撮影だが、もちろんマイクはSM63Lである。
ただし風雨の中での撮影にはソニーのF115を使用する。同じダイナミック型だが防滴構造になっていて風雑音に強い。台風情報のレポートではこの少し厳ついF115の雄姿をご覧いただけるだろう。
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2005年7月18日
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