映像制作フィールドレポート・アーカイブ   LIST view  RSS
映像制作会社の代表が現場で印象に残ったことなどを写真やビデオキャプチャーで綴る撮影技術日誌
(WEBへの公開は制作会社、クライアント、出演者の許諾をいただいておりますが二次利用はご遠慮下さい)

■2009年01月14日(水)  標高2000mの冬ロケ
10日から信州の北八ヶ岳へ行ってきました。先日買ったWindows携帯から更新できるかと思っていましたが、残念ながら使えたのは小屋にある衛星携帯電話だけでした。今回は笹邊と木原の2名でのロケ。その時の様子をまとめてアップします。

いきなり食べ物ネタで申し訳ありません。出発したのが遅かったので、とりあえず前泊はネットで検索した上諏訪の「民宿すわ湖」です。遅く着いたにも関わらず、気持ちよく応対していただき、気持ちのいい前泊が出来ました。高価な温泉宿が多い中でも一泊二食付きで6,500円(税込)という価格。決して豪華ではありませんが素晴らしい夕食をいただきました。


牛スキセットにはアジのタタキとニジマスの塩焼き。


Rの付く月ですからもちろん牡蠣。そして小エビのから揚げ。

スキ焼きはもちろん美味しく、なんとジコボウ(イグチ科のきのこの総称)がたっぷり入ったキノコ汁。ご飯も汁もお替り自由。


宿の床の間にあったゼネラルの白黒テレビ。なんとラジオも付いています。

ラジオの周波数表示の上は短波で下が中波。単位はHz(ヘルツ)ではなく、mc(メガサイクル)kc(キロサイクル)になっています。オブジェとして最高の一品の合うことが出来ました。
食後はゆっくりと露天風呂に浸かって明日からのロケのために英気を養います。もちろん朝も食事前に露天風呂に入ったのは当然です。食べることに夢中で、朝食の写真を撮り忘れたのは残念ですが、これもまたボリュームたっぷりの美味しい朝ごはんでした。
今回初めて泊まった民宿すわこ、駐車場まで解氷剤を持って見送りにまで来ていただいた従業員さん、ありがとうございました。これからの定宿にさせていただきます。

目的地の北八ヶ岳「麦草ヒュッテ」は標高2127mの麦草峠に位置し、志賀草津道路が国道に昇格するまで国道標高日本一を誇ったところです。最近の最低気温は−20℃。国道299号線は蓼科の別荘地が無くなるメルヘン広場から先が冬季通行止めになっていて、峠までは徒歩やスキーが交通手段になりますが、小屋のスノーモービルでの出迎えも出来ます。今回は登山が目的ではないため、笹邊はスノーモービルで約15分で目的地に到着。もちろん国道を離れて登山道は徒歩で移動します。

空は晴れていても峠は強い風が吹き、すぐに吹き溜まりが出来ます。移動にはスノーシューが最適です。

無積雪期は苔に覆われたシラビソの樹林帯もクリスマスツリーの森です。樹林帯の中は風も無くとても歩きやすいのですが、霧が出たときは要注意。道を見失うと大変なことになります。

森を抜けるとそこは全面結氷した白駒池。標高2,115mにあるこの池は標高2, 100m以上の湖としては日本最大の天然湖です。氷の厚さは現在60cmで、もちろんこの時期なら何処を歩いても大丈夫です。右の盛り上がりは氷に穴を開けた汲み出し口。池の水は大切な飲料水です。

池の側にある「青苔荘」(せいたいそう)この小屋も通年営業です。小屋主の山浦清さんも正広さんと同じ二代目で年齢は正広さん、笹邊と一つ違い。確か同学年だったと思います。


25年ほど前に一冬お世話になって撮った写真が今も飾られています。


青苔荘を後にして麦草ヒュッテに向かいます。夕闇が迫った白駒の奥庭で撮影。気温は氷点下15℃まで下がっています。

麦草ヒュッテはすっかり闇に包まれていますが、まだ6時過ぎ。普通の人はこんな時間まで行動しませんが、小屋に住み込んでいた頃はよく夜中に登山道を歩いたものです。良い子のみなさんは絶対こんなまねはしないでください。

山小屋といってもスノーモービルのおかげで平地と変わらない新鮮な野菜がたっぷりの夕食をいただけます。

小屋の二代目オーナーの島立正弘さん。彼曰く「笹邊さんは北八ヶ岳にテレマークスキーを持ち込んだ人」だそうですが、それよりも私は北八ヶ岳(麦草ヒュッテ)に後述する荷物用のプラ橇(そり)を持ち込んだ人物として紹介していただきたいと思っています。


昔からの常連、キク(菊嶋)さん。

上の写真は24年前に撮った懐かしい1枚。サングラスをかけてハンドルを握っているのが笹邊。FieldReport 11/05(Mon)の記事「北八ヶ岳へ」に昨年行われた先代の傘寿と小屋の50周年を祝った会の様子を載せています。

小屋の皆さんと常連の楽しい宴。手前左は元小屋番で常連の中島さん。20年からのテレマーク常連は京都の古川さん。そして右は今回初めてお会いした新人の常連?さん。是非常連になってください。後列右端の2人は今年の越冬小屋番さん。次回の撮影ではかならず出演していただくようなシナリオを書きます。

二日目は朝から激しい雪と風。条件は厳しいですが、こういう天気だからこそテープを回さなければなりません。(今回はメモリー記録ですから回すというのは間違っています・・・・)

笹邊が曳いているのが上に書いた荷物用のプラ橇(そり)。積載重量が多くても軽々曳くことが出来ます。これなら犬一頭でも曳けそうです。初号機は25年ほど前に名古屋で入手しました。テントを担いで硫黄岳〜天狗岳、茶臼〜縞枯れの冬季山行で麦草ヒュッテにも訪れていましたが、山スキーを履いて荷物を満載した橇を曳く直己スタイルで、ひとり麦草にたどり着いたのが笹邊と麦草の深い出会の始まりです。下山の際に橇を預けて(差し上げて)次に来た時には立派な金属フレームが付いてピン1本でスノーモービルと繋がるようになっていたのには驚きました。そして台数も増えていました。
笹邊が着用しているものは登山用ではなく、実はワークマンの飯田インター店で入手したものです。防寒ズボンや防寒長靴などはアウトドア専門店で買うよりも、作業服の店やホームセンターで買う方が遥かに低価格です。もちろん登山用品の性能には及びませんが、北八ヶ岳の撮影はこれでも可能です。スノーシューとストックがあれば十分です。大事なことは汗で濡れないこと。
(※厳冬季の硫黄岳以南の南八ヶ岳では重登山靴、アイゼン、ピッケルは必需品です。)

撮影で移動する橇の荷物。ビンテンビジョン3とビンテンのケースの中にはHVR−Z5J、ザックの中には周辺機器と山道具が入っています。

風雪が強くなってきたので撮影開始。普通とは逆のようですが、今回は麦草ヒュッテの新しいホームページ作成と動画コンテンツ制作の下準備のためのという目的のため、荒天が実は好天というわけです。

低温に弱いビンテンですが、ビジョン3ではドラグ機構が小さく、オイルの量が少ないためにドラグは重くなりつつも使えるレベルで留まってくれます。ただし10以上のクラスが必要な場合はやはりサクラーがベストです。Z5JにはZ1J用のレインカバーを被せて使用します。

アイピース部分に粉雪が付着し、撮影のたびにブロワーで付着した雪を吹き飛ばして使用します。Z1Jに比べると画質が向上し、レンズの守備範囲は広くなりましたが、ファインダーのアイピースはZ1Jよりも落ちています。平地では液晶モニターを使うので全く気になりませんでしたが、レインカバーを被せると液晶が使えないのでファインダーが頼りです。小型化の弊害なのか、視野角が狭くなり、クリアーさもZ1Jが勝ります。解像度は向上しているにも関わらず、とても残念です。アイピースは画質に影響はしませんが、人間との最も重要な接点になるわけですから、ぜひともグレードアップしたアイピースが欲しいところです。出来れば交換用の高倍率、広視野のHGアイピースは商品化してもらいたいと思います。(Z1J用のアイピースは接合部のサイズが異なるため、そのままでは取替えは出来ませんでした)

ライコートも見る見る雪が付着します。まるで雪に埋もれたナキウサギですね。このまま使うと音質が劣化するので、音が必要なシーンでは雪を払いのけて使用します。また、このまま暖かいところへ持ち込むと濡れてしまうので、解ける前に雪を払いのけます。


撮影する笹邊の髪の毛や眉毛もライコート同様に霧氷状態です。


風が収まってきたので東屋にて小休止。北八ヶ岳の登山道(遊歩道)は要所要所に写真のような東屋やベンチが設置されています。

ベンチとテーブルにたっぷりと積もったパウダースノー。まるで巨大かき氷です。これに山ほどの小倉餡と抹茶シロップ、練乳をぶっ掛ければ宇治金時1000人分。
・・・・・・・・冬山を彷徨したためか、白い粉に狂ったのか、幻覚が・・・・・

冗談はさておいて、持参したストーブで雪を溶かして熱々のチャイを入れます。

吹雪が収まり、晴れ間が見えてきたのでレインカバーを外して液晶モニターを見て撮影しています。収録はメモリーレコーダーのCFカードオンリーです。今回テープの同時収録は行わず、メモリーだけにしたのはテープ挿入部から雪が入り込むことを避けるためです。32GBメモリーカードのおかげで148分間はメディア、バッテリーの交換は不要。つまりほぼ丸一日メカを開く必要なしです。


ヒュッテに戻ると大きな薪ストーブが迎えてくれます。

三脚の伸縮部を濡れたままにすると凍り付いて使用できなくなるのでしっかり乾かします。もちろんヘッドやフネも同様です。特にフネは溝に雪が付着しただけで脱着不可能になるので、丁寧に乾かします。

昨年から小屋番になった栗原さん。爽やかな笑顔と素晴らしい声の持ち主。もちろん動画コンテンツのメインキャスト。お菓子作りが得意!。2月の撮影も楽しみです。

松本で別件の仕事があるため、予定通り麦草を後にします。下山はもちろんスノーモービルです。

一台のモービルを運転するのは木原。初めてのモービル体験ですが、スピンすることも無く快調に走り、無事メルヘン広場へ到着。昔は北海道や東北でナンバー付きのモービルが公道を走っていましたが、現在は国土交通省の認可が無いため公道では走れません。そのかわり免許も必要なくなりました。対人、対物、自損を含め全ては自己責任です。くれぐれも安全運転に心がけましょう。

メルヘン広場に留め置いたデリカD:5千里号。冷え切っていましたが寒冷地仕様車にしたおかげで一発始動でした。


笹邊も平地の仕事着に着替えてビジネスモードに入ります。


次の撮影は2月上旬。おそらく積雪は60cmほど増えているでしょう。麦草ヒュッテの新しいホームページは夏山シーズンの前には公開できるように進めています。新しいホームページ用のドメインを本日取得しました。ドメイン名はmugikusa.comとkitayatsugatake.comです。

■2009年01月08日(木)  HVR-Z5J、HVR-Z7J用BNC出力キット

HVR-Z5Jで作ったBNC出力コネクターを増やしました。ダウンコンバートしてスイッチングしたり、モニターする場合に本体に付いているAVコネクターでは抜けたり、頻繁に抜き差した場合にコネクターが壊れる不安がなくなります。すでに1個作ってノウハウを持っていたので作業は簡単でした。

金属の輪にBNC(JJ)コネクターを通してインシュロックで固定します。これだけでも十分ですが、見た目が悪いのでエポキシ樹脂で固定強化と外装を整えます。

後は塗装をしてベースを取り付けて完成です。

HVR-Z5J純正品のAVコネクターを適当な長さに切断してBNCコネクターを半田付けすれば最初の写真のようにHDVカムコーダーにBNC出力を増設できます。もちろん出力はコンポジットのNTSCのため、SD収録やHDパラ撮りのモニタリング用という用途です。

今回このコネクターとあわせて30MのLANCケーブルも追加購入しました。昨年作ったタリーランプやリモートコマンダーRM-1000BPがどんどん活躍してくれます。

■2009年01月07日(水)  大衆演劇第四弾

劇団澤宗・澤宗城栄座長襲名五周年記念、座長大会のDVDが間もなく完成します。
昨年撮影した大衆演劇「やくざ巡礼」などを収録したDVDです。これまでに撮影した著名な大衆演劇のDVDはキングレコードから発売された「大川良太郎」、「小泉たつみ」、そして「市川おもちゃ」で今回の「澤宗城栄」は第四作目になります。
今日DVDプレスのスタンパー作成に入りましたので、今月中にはプレス〜パッケージまで完成します。

■2009年01月05日(月)  謹賀新年の使用期限

謹賀新年の使用期限、今風に言えば賞味期限について考えてみました。正月行事が一段落する小正月(1月15日)までが限度とも聞きますが、世の中が平常業務に戻っているのにいつまでも謹賀新年ではおかしな感じです。
松の内(七草=1月7日)までなら、年賀特別郵便として年賀ハガキには消印が押されないというのも区切りの一つです。そして1月11日の鏡開きというのも一つの区切りな気がします。色々調べてみると、どうやら答えは
松の内が明けると「松がとれる」と言われ、お正月気分から抜けるようにいろいろな行事が待っています。まず七草がゆ。お正月のごちそうを食べ過ぎた胃腸を休めるために春の七草を入れたかゆをいただきます。そして1月11日に年神様にお供えしていた鏡餅を下げていただく行事である鏡開き。
(冠婚葬祭の達人中山みゆきさんの意見を参考にさせていただきました)
ということから、1月7日の「松がとれる」時に謹賀新年を外すというのが一番良さそうです。
ということで、千里ビデオサービスのホームページの謹賀新年は1月7日までとしました。

この日の出の画像は岡山県久米郡三咲町(旧中央町)で撮影したものです。
このロケでは5日ほど毎朝日の出前に雲海のスポットへ通いました。夜間の放射冷却等で地表近くの空気が冷やされて空気中の水蒸気が凝結して、それを高所から見ると雲海です。一面の雲海から昇る朝日が美しかったです。ただし宿舎にしていた役場の夏季専用の宿泊施設は限りなく寒かったのを今も思い出します。
今月は仕事とプライベートを合わせて長野へ行きます。もちろん八ヶ岳へも行きます。さて、どんな景色に出会えるのか、とても楽しみです。

■2009年01月04日(日)  明けまして国際電話
日曜日ですが会社の電話に着信。休みの日は携帯に転送しているため番号が表示されました。
+61・・・・・・・
何処からかかかってきたのか?、とりあえず電話を繋いで見ると
「アケマシテ・オメデトゴザイマス」
以前リサイタルを撮影した女性歌手の方からです。
「メールニシヨカトオモタケレド・デンワノホウガ・コエキコエルシ」
そうなんですね。新年のおめでとうコール、嬉しいものです。
この方、初めて会った時から笹邊のことをセンセイと呼んでくださいますが、
教えたわけでもないし、何の先生なんでしょう。
確かに私のほうが年上ではありますが。
電話を終えてから「国際電話か!」
「そういえばあの人どうしているのか」という知人を思い出して早速電話をかけてみました。
やはり直接声を聞くというのはいいものですね。

■2009年01月03日(土)  メモリー収録素材の保存と納品の革命
今日で正月気分も最後です。週明けからは殆どの会社が通常業務に戻ります。皆さん、ゆっくりお正月を楽しまれたことでしょう。笹邊ももちろん、ゆっくりと三が日を過ごさせていただきました。
さて、ちょっと大げさなタイトルになりましたが、けっこう画期的なことです。
昨年から始めたメモリーレコーディングユニットによるCFカード記録ですが、いくらメモリーが安くなったとはいえ、やはり毎回メモリーを納品というわけにもいきません。おそらくメモリー記録の方は、皆さんハードディスクへ保存されているはずです。
データの入ったCFカードをリーダーに挿入してコピーすればバックアップ完了というか、キャプチャー完了です。またソニーのサイトからユーティリティーもダウンロードでき、編集ソフトが無無くてもファイルのプレビューなどが可能です。もちろんそういったユーティリティーを使わないでパソコンにコピーしても問題ありません。

ファイルの構成は次のようになります。
千里ビデオサービスの場合はWindowsで編集するため、メモリーレコーダーの設定をSDはAVI、HDはM2Tにします。これはメディアプレーヤーで再生が可能です。RAW DVはクイックタイムで再生できましたが、そのままではうまくエンコードできず、EDIUSのタイムラインに貼って正常再生が出来ました。
ファイルについてに「ファイルサイズの上限は4GBです。4GBを超えると自動でファイルが分割されます。」とありますが、これはメモリーのファイルシステムがNTFSではなく、FAT32になっているためで、FAT32の場合はボリュームシステムの上限は2048GB=2TBで、MACでも読み込めます。ただしファイル一つの最大サイズは4GBという制限があります。
次の画像は先日撮影した約3時間の連続撮影ですが、FAT32の約束どおりファイルが分割されています。
6つめのファイルサイズが小さいのは途中でテープを回してメモリー記録を一旦中断したためで、テープ残量が無くなる数分前から再びメモリー記録を行っています。
FAT32のファイルシステムの4GB制限を誤解して、連続記録が出来ないと考えておられる方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。記録を続けていて、ファイルが4GBに達すると自動で次の書き始めの時刻をファイル名にして連続記録されます。メモリーには.IDXというファイルが保存されますが、これは参照ファイルに似たものです。参照ファイルと異なる点は分割された参照先ファイルが独立して再生できることで、ファイルのディレクトリーパスを気にしなくても良いようになっています。
次の画像はEDIUSのBINに入れた収録データの詳細ですが、ファイルにタイムコード付いていて、自動分割が正確に行われていることがわかります。
ファイルの分割についてはすでに昨年から運用しているローランドのフィールドレコーダーR−44のSDHCカードも同様で、4GBを超えると自動で分割されます。今回のCFカード記録の映像ファイルもR−44と同じく、編集ソフトのタイムラインに並べると正確に繋がります。もちろん繋ぎ目に欠落やノイズ、フィールドの入れ替わりもありません。HVR−Z7JやS270に同梱されて、単体発売されていた頃には繋ぎ目で映像と音声が欠落するという報告もあったようですが、単品販売されたHVR−MRC1Kでは全く問題なく繋がりました。これは私の想像ですが、なんらかの改善が施されたようです。やはり1年の期間を措いての単品発売の意味がありそうです。
下の画像はEDIUSのタイムラインに並べた分割ファイルです。

ファイルの分割について色々書きましたが、長時間記録の場合も分割は全く気にする必要はありません。「参照ファイルにキャプチャー」と全く同じ感覚です。機械が機械の中で勝手にやってくれていることで、まさにデジタルだと思います。
なお、万一ファイルがうまく繋がらない場合にはソニーのサイトからユーティリティーをダウンロードすれば連続したファイルとして繋ぐ事が出来ます。
http://www.sony.jp/products/Professional/c_c/hdv/support/download_utility.html
「Sony Recording Unit Utility」はHDV記録されたファイル(xx.M2T)を取り込む際に、これら分割されたファイルを1ファイルに結合します。結合されたファイルは、ノンリニア編集ソフトウェアで連続した映像として編集することができます。

さて、ここからが今日の本題です。FAT32のファイル分割の恩恵についてです。
昨日メモリー記録で低価格化のことを書きましたが、4GBというサイズで思い出すのがDVDーRの容量。DVD規格の4.7GBは4,700,000,000byteのことで、これをコンピューターのハードディスクで言うGBに換算すると
4.7GB(DVD)=4.7×1000×1000×1000÷1024÷1024÷1024 (byte)=4.37GBです。ややこしいですね。パソコン上で4.7GB近いファイルをDVDに焼こうとして容量不足のエラーを経験された方も多いと思います。パソコン上で4.7GBのものをDVDの規格に換算すれば
4.7GB(PC)=4.7×1024×1024×1024(byte)=5,046,586,573bytesとなります。つまり5GB以上のDVD−Rが必要になると言うことです。
横道にそれましたが、FAT32で制限されているおかげで記録データはDVD−Rの容量に収まるサイズになります。AVIで記録したDVCAMデータはそもままDVDに焼いて保存や納品が出来るということです。この正月休みを利用して様々なテストを行いましたが、とにかく便利です。もちろん分割されたファイル数だけDVD−Rにコピーするわけですから、それなりの時間は必要ですが、4GB=約20分のファイルを数分でコピーできてしまいます。DVD−Rのメディア代は大手メーカーの国産品でも単価数十円です。クォリティーを下げずに低価格化を行うために有効なメモリー記録だと思います。
「メモリー収録素材の保存と納品の革命」と題しましたが、まさに画期的なことだと思います。もしもファイルが連続してしまっていたらこういう方法を使ってコピーすることは非常に大変です。そしてDVD−Rに保存したAVIファイルやM2Tファイルは他のパソコンで編集出来ます。さらにテープと違ってすでにAVIやM2Tになっているため接続環境やサーバーの能力にもよりますが、インターネットを使っての納品も出来ます。これが革命と言わずして何なんでしょうか!(ちょっと大袈裟ですね)とにかく便利になりました。
※「世界まる見えスペシャル」だったと思いますが、人類が滅亡するとデジタルデータなどは数十年持たないそうです。DVD−Rには寿命があり、決して半永久的なものではありません。定期的なバックアップを行い、保管環境にも注意してください。

■2009年01月02日(金)  明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年頭挨拶を掲載いたしましたのでご覧ください。

さて、年末に撮影した宮内タカユキLIVEですが、今回はCFカードで記録しました。
事前に32GBのカードで問題なく記録できることは確認していましたが、
やはり本番を終えてPCにコピーするまでは不安です。
ソニーからは306倍速の高価なCFカード(とはいってもP2やSxSよりも安いです)が出ていますが、
メモリーレコーディングユニットHVR-MRC1Kの仕様では
133×2GB以上
容量は、1GBを10億バイトで計算した場合の数値です。
また管理用ファイルなどを含むため、
実際使用できる容量は若干減少する場合があります。
となっているため、もちろん133倍速の格安メモリーを購入してみました。
このトランセンドの32GB/CFカードは友人が何度も使用していて問題ないことも確認しています。
価格.comで最安値を調べて4枚オーダーすると翌日に到着しました。速い!
HVR-MRC1Kに装着したところ、フォーマットの必要も無くすんなり認識。事務所で録画再生、長時間録画の温度上昇などもチェックして問題の無いことを確認しました。
速いにこしたことはありませんが、80km/hの道路を走るのに200km/hの速度が出る車は要らないだろうという考え方です。
収録したデータをPCにコピーしてEDIUSで編集しましたがコマ落ちなどもなく快適です。何よりもキャプチャーではなく、コピーであるということが便利です。32MBの記録時間はHVR-MRC1Kのステータス表示では146分ですが実質はこれよりも長く撮れ実測すると148分9秒1フレームでした。ちなみにこの記録時間はDVCAMのテープ3本半、HDVテープの2本強に相当します。
133倍速のデータ転送速度はトランセンドの資料では21.5MB/秒(最大)となっていて、25MbpsのDVやHDVでは速度不足に思われそうですが、1byte=8bitでバイトとビットとなり、単位が異なります。DV圧縮フォーマットでの画像転送レートは3.6MB/秒となり、10MB/秒もあれば十分というわけです。
いずれにしてもややこしい話は抜きにして、この格安CFカードでも問題なく使用できました。
DV/HDVよりも上のフォーマットになると記録メディアのコストが急激に跳ね上がり、誰もが口を揃えて「メディアが安くなれば・・・・」と言われます。
千里ビデオサービスが半導体記録のフォーマットとしてHDV/DVCAMのHVR-Z5Jを選んだ理由がここにあります。HDV/DVCAMだからこそ出来たCFカード記録。
HDCAMのテープは40分で4,000円、DVCAMが40分で1,300円、HDVが63分で1,800円。何れもこの価格にVTRのヘッド磨耗によるメンテナンス費を加えなければなりません。
しかし16GB>70分=5,000円 32GB>148分=7,000円ということであればいずれはテープよりも導入コストが安くなりそうです。もちろん初期化すればテープと違ってドロップアウトの心配も無く再利用が可能です。

昨年千里ビデオサービスではENGミキサーやワイヤレスマイク、そしてストロボの電池を全てエネループと充電式エボルタに切り替えました。理由は「残量のある電池を廃棄して、毎回新しいアルカリ電池を購入することは大きな無駄」だからです。テープでも同様です。キャプチャー、編集が終わった素材テープをドロップアウトが怖いから新品を使うということがいかに勿体無いことか。
メインをメモリー記録にして、同時に回すバックアップのテープは再利用でもよいはずです。テープ代というのは製作費のなかではそれほど大きなものでは有りませんが、一つ一つの積み重ねが納得できる製作費を生み出す要素になることは確かです。
今年はこの超エコな収録方式で新しい企画を展開する予定です。どうぞ皆さん、ご期待ください。

■2008年12月29日(月)  宮内タカユキLIVE
2008年ラストの仕事は中津にあるMINOYA HALLでの「宮内タカユキLIVE Run&Run」です。チケットはすでにSOLDOUT!

昨年は1カメで収録しましたが、今年はHVR-Z5JとHVR-Z1Jによる2カメパラ撮りです。

Z5JをコントロールするRM-1000BP。LANCを使った制御のため、同時に二つの動作が出来ないことが注意書きとして添付されています。
■複数ボタンの同時操作について■
LANC仕様上の制約により、2つ以上のコマンドを同時に操作する事が出来ません。
例えば、ズームをしながらアイリスをコントロールする事は出来ません。
ご注意下さい。
ちょっと気になるアナウンスですが、これはリモートコマンダーから同に二つのコマンドを出した場合の話で、実際の運用ではレンズ側のズームを操作している時にリモートコマンダーでアイリス調整は全く問題なく操作出来ます。現在千里ビデオサービスではHVR-Z5Jを用いたEFPスイッチングシステムの検討を始めました。HVR-Z5Jを使ったシステムのメリットはまずコスト。そして20倍レンズ。もちろんシステムはプログラムタリーランプ、リターンビデオ、インカムを備えたものです。また「HVR-Z1Jは感度が低く、舞台には向かない」といわれ、実際千里ビデオサービスでもHVR-Z1Jは照明が入ったVP撮影やオープンロケでの使用に限定してきましたが、先日導入したHVR-Z5Jは感度が倍以上に高くなりました。HVR-Z1J発売の2005年1月21日から間もなく3年。熟成したHDVカムコーダーHVR-Z5Jは画質、機能ともに隔世のモデルだと思います。
本格的な業務用(放送用とは異なります)HDマルチカメラシステムが登場するまでの暫定的なものにりますが、かなり期待できるシステムだと考えます。

同い年の熱いステージ。彼が走るから私も走れる!そんな気持ちにさせてくれる熱い野郎です。

この日のライブは愛娘のまゆさんも参加。宮内の叩くドラムにつめかけたファンも大満足。

恒例のツーショット。会うたびに撮るツーショットですが、二人合わせると百を超えました。さあ、これからも「高齢のツーショット」まで頑張ろう!

■2008年12月28日(日)  東京土産は富士とばな奈
 木原です。本日は「VOICE LOVE NETWORK」公開録音のスチルの撮影で東京でした。
 雪化粧をした富士山がとても綺麗だったので思わず写真を撮ってしまいました。車内で読んでいた本は新田次郎の「点の記」。次は「富士山頂」を読みます。

 東京駅で東京バナナの新製品?を見つけ、お土産に買って帰りました。
  これはTOKYO BANANA no KUROBE「東京ばな奈のアイとサチ」

  そしてTOKYO BANANA HEART

■2008年12月28日(日)  年の瀬EFP現場
今年も残すところ3日となってしまいました。年の瀬の現場は3カメスイッチングのEFPと東京アニメセンターで公開録音の写真撮影。東京のレポートは後ほどにして、まず大阪のEFP現場のレポートをアップします。
ここしばらくビデオでは制作ものが続きましたが、今日はEFPスイッチャー収録。ライブスイッチングの緊張感もいいものです。とはいっても、今回のスイッチングはカメラマンにオンタリーを伝えることと、アイソレーションのガイド用になります。スタッフがマルチカム編集をマスターするためのパラ撮りです。
現場はもう20年近くお付き合いのあるダンススクールのリサイタル。20年前に踊っていた子供たちが今ではインストラクターやプロになったり、月日の経つのは速いものです。そしてこれまでとり続けてこられたことに感謝します。

客席最後部の撮影スペースにスイッチャー卓とVE卓を組んでいます。スイッチャーはAW-SW350のジェンロックモード。先日1台追加購入し、今日は二号機のお披露目です。今更SDという感じですが、まだまだSDの需要が後を絶ちません。VE卓はCCU-M5をRM-M7Gでコントロールしています。スイッチャー用は液晶の三連モニターと9インチCRTのグログラムモニター、プレビューモニターですが、VE卓は6インチCRTモニターです。スイッチャー及びVEのモニターにはそれぞれモニタータリーを付けています。

収録はプログラム:DSR-80とパラ撮りにDSR−45、40を使用しています。編集はEDIUSで行います。プログラムをガイド用にして4系統のマルチカム編集モードです。現場スイッチングのプログラムでは成しえない微妙な編集が可能です。ただしテープの消費量はVTRの数だけ必要になります。

場当たりの時にシーン毎のアイリスをVEがチェックしています。
さてEFPのスイッチング収録は今日が今年の最後の現場になりますが、明日は宮内さんの大阪ライブの収録です。今回はHVR-Z5JにリモートコマンダーRM-1000BPを使った1CAM/EFPで行います。音声はローランドのR−44です。おそらくこのライブが本年最終になると思います。先ほど電話がかかって来て「会うの楽しみだよ」ということでしたが、こちらこそもっともっと楽しみな宮内タカユキライブです。

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