気になることがあったので試してみた。地上波デジタルとアナログ地上波の画質比較である。当然地デジはHDで、アナログ放送はSDだから地デジが優れている。実際ハイビジョン液晶テレビで地デジとアナログ放送を見比べるとSDは甘いというよりも汚いと感じるのだ。ところがアナログ放送をブラウン管で見る限りはかなりきれいに見える。しかし今後新しくブラウン管テレビを購入する人はよほどの変人かマニアに限られるだろう。やはりハイビジョンに特化した液晶パネルやPDP、有機EL等ではSDのアナログ放送は見るに耐えないのだろうか。つまりアナログ地上波が停波する2011年を待たずしてSDは衰退してしまうのか?
見るに耐えないSD画質ではこれまで放送局が蓄積してきた膨大な映像資産(SD)は宝の持ち腐れとなってしまう。それどころか、番組でよく使われるVX2000やPDによる取材、そしてビデオジャーナリストによるSD映像も存続が危ぶまれる。最近仲間内で「今後は4:3のSDは無くなるのだろうか?」とか「本当に2011年にSD放送は無くなるのか?」などということが囁かれている。はたしてどうなのか。私は2011年には確実にアナログ放送は止まると思う。しかし4:3のSD取材は暫定的に続きそうな予感がする。
実は今日、志村けんのバカ殿を地デジで見ていた。ハイビジョン放送への4:3はめ込み画面で当然素材はSDである。だが液晶で見ていてもけっこうきれいに見える。同じ放送をアナログで見るとやはり汚い。双方を比較するために画面を撮影してみた。
これは地デジのハイビジョン放送にはめ込まれたSD素材の画面だ↓
そしてこれは地上波アナログ放送の画面↓
全体を見る限りはさほど違わなく見えるが、部分を比較するとその差は大きい。
地デジハイビジョン放送にはめ込まれたSD素材の部分拡大↓
これは地上波アナログ放送の部分拡大↓
部分を見ると確実に差があることが判る。いずれもD2のSD素材だと思うが、ハイビジョンにアップコンバートされた地デジの場合はブラウン管で見ていたものと変わらない解像度を示している。これならテレビ放送がすべてデジタルハイビジョンになっても4:3のSD素材は十分活用できるだろう。それどころか、液晶で見る限りSDをきれいに見ることが出来ないアナログ放送は一日も早く止まって欲しいと思ってしまう。
結論を言うと、アップコンバートされたSD素材は液晶モニターでも十分高画質に鑑賞できるということだ。実際これまでにHDCAMで取材した番組もディレクターはVX-2000を回していた。国営放送を除けば今しばらくSDによる取材は並行するのではないだろうか。
|