2010年02月06日(土)
たまには童心に還って
子供の頃憧れていたもの。人それぞれ色々あると思う。そして憧れたけれども手に入れられなかったもの。私の場合はベレットGTR、ギャランGTO-MR、コリンズのHF通信機、天賞堂HOゲージ鉄道模型全種、MGCのランダル他ウインチェスター全て、オルトフォンのトーンアームとカートリッジ、スズキのハスラー400、まあ色々ある。考えると物欲の沼だ。
その中でずっと気になっていた垂涎のアイテム。それはオリンピックを始めとする大きなスポーツの祭典が行われるたびにメーカーカタログや新聞やメーカーカタログに掲載されたフォーカシングユニットが付いた超望遠レンズ。
東京オリンピック(1964)の時はアベベが走る姿を学校のテレビで見た記憶があるくらいで、そこで使われているカメラなど記憶に無い。後の1968年に行われたメキシコ(夏)の頃は中学生で写真に興味を持ち始めたころということもあり、ニコンにカタログを送付してもらったりもしていた。そして決定的なのはやはり1972年の札幌(冬)のジャネット・リンではなく、報道カメラの砲列だった。大手の報道陣にはプロトタイプの300mmF2.8が配られたらしいが、大半はフォーカシングユニットを使う600mm前後とミラーレンズだったと思う。
(写真をクリックすると拡大します)
これは今回運良く入手した中古のNikkor-P Auto 600mm F5.6だ。先のオーナーが大切にしていたそうで、鏡筒の傷も僅かで、レンズの傷やカビは皆無。更に運良くというか、フォーカシングユニットがニコンFマウント用ではなくペンタックス67用になっている。これについては後で説明するが、ニコンではゼンザブロニカシリーズ用に40mm〜1200mmのレンズを供給していて、400mm〜1200mmはイメージサークルに余裕があるため、6×6用のフォーカシングユニットを取り付けてブロニカから発売していた)私はその頃はまだアマチュアでハッセルブラッドは高嶺の花で中版はブロニカS2とECを使い、レンズはニッコールの40mm、50mm、75mm、200mmだけであり、とても600mmなどは買えなかった。もちろんニコンFも最長はNikkor-P Auto 300mm F4.5止まりである。F2を購入した時はレフレックスの500mmF8で、やはりフォーカシングユニットの付いた超望遠レンズは垂涎の存在だった。
その後写真を生業にし始めた20代前半にハッセルブラッド、ローライフレックス2.8F、ペンタックス67、マミヤRZ67、そしてニコンF3P等を使い出したがそのときにはED化され、AIタイプのフォーカシングユニットAU-1を付けた超望遠レンズは姿を消し、購入したのはAi Nikkor ED 400mm F3.5S(IF)、Ai Nikkor ED 600mm F5.6S(IF)で後にAi Nikkor ED 300mm F2.8S(IF)、そしてニコンF4の時にAF Nikkor ED 300mm F2.8S(IF)を挿入して400mmは小さなAi Nikkor ED 400mm F5.6S(IF)、そして音が煩いAF Nikkor ED 300mmと300mm+テレコンでカバーできる600mmはハッセル用のリンホフと大判レンズ類購入の下取りに出してしまった。
結局私はニコンF時代から今までフォーカシングユニットを使う超望遠とは縁が無かったのである。それが先日素晴らしい中古に出合えたのである。それもペンタックス67用のフォーカシングユニット付でだった。
(写真をクリックすると拡大します)
フォーカシングユニットはペンタックス67の200mm以下用のバヨネット内爪ではなく、望遠用のバヨネット外爪に取り付けるスビゴットマウント(キヤノンFDマウントを大型化、もしくは池上のB3マウント状態)になっている。もちろんこのままではニコンFマウントには取り付けられない。ただしこれが運悪く?ニコンF用の旧フォーカシングユニットCU-1ではNikon D700に装着しようとすると、AI連動爪を壊してしまうため取り付けられない。また新型のAIタイプのAU-1ではD700のボディーと干渉するらしく取扱い説明書にも不可と書かれている。



そこで登場するのがKIPONとうメーカーのペンタックス67→NIKON-F変換マウントアダプターだ。上の2枚は中国の通販ショップのもの。
KIPONはドイツの光学機器メーカーでバヨネット変換アダプターやレンズ他いろいろな物を作っているメーカーだ。現在直販サイトは無いが、日本では焦点工房というところが扱っている。
このアダプターはニコンFマウント用だが、Fマウント部分を交換することでEOSにも使用可能と言うことだ。
今時EDでもない600mmをどうするの?と言われてしまうが、憧れのレンズが40年近い歳月を経て手に入れることが出来た上に、さらに最新のデジタル一眼レフ、それもニコン、キヤノン双方に使えるわけわけだから良いのではないだろうか。とはいいつつも非EDの600mmレンズが今時のレンズと張り合えるものではない。仕事ではなく、全く私の趣味の世界、大人買いの1本。
・・・だから今回は【たまには童心に還って】ノルタル爺である。

ちょっと追記しておきたい事がある。上に書いた内容だと私が余りにもニコン一辺倒と思われてしまうので少し学生時代からのフィルムカメラ遍歴を書かせてもらおう。(緑字は現有)
コニカVAコニカ現場監督コニカレコーダー、コニカC35
ヤシカTL、ヤシカエレクトロ35
オリンパスペンDオリンパスペンEE-3、オリンパスペンF、オリンパスペンFT
オリンパスM-1(OM-1ではなくてM)、オリンパスOM-1、オリンパスXA
キヤノンダイアル35、キヤノネット、キヤノン7S、キヤノンEX、キヤノンFTb、キヤノンF1、キヤノンA1
ペンタックスS2、ペンタックスSV、ペンタックスSP、ペンタックス67
ミノルタSR1s、ミノルタXD、ライツミノルタCL
マミヤスーパー23、マミヤRB67、マミヤRZ67
トプコン ホースマン970
ローライ35、ローライフレックス2.8F、ワイドローライ、テレローライ
リコーオートハーフ
アグファオプチマ1035
ニコンF、ニコンS、ニコンS2、ニコンFフォトミックFTn、ニコマートFTn、ニコマートEL、、ニコンF2、ニコンF2フォトミック、ニコンF2フォトミックAs、ニコンEM、ニコンFA、ニコンF3、ニコンF3HP、ニコンF3P
フジGW690、フジGS645、HD、HD-1、HDM
ハッセルブラッド500C、ハッセルブラッド500EL、ハッセルブラッド500CM、ハッセルブラッド500ELM
リンホフスーパーテヒニカ45、リンホフカルダンB
ジナーS、ジナーP
トヨビュー4x5、トヨビュー4x5G、トヨビュー8x10G、トヨフィールド4x5
思い出せた分だけ書いてみた。
他にもムービーのフジカGZ1000やニコンR8ニコンR10等も使っていた。
このニコンの8mmカメラは機会を見て写真を掲載してみたい。

2/11追記
こちらに写真を掲載しています http://svs-p.jp/blog/
2010年2月6日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年02月05日(金)
ikan 5.6吋 HDモニター
【ikan 5.6吋 HDモニター】という検索。
最近色々な現場で使っているikanというメーカーのV5600というHDモニターだ。

HDMI入力が出来る。HDの画質はもちろん良いが、SDでの画質が良いことが有り難い。私が購入したのはPRO AUDIO VIDEO GEARというロスの会社。以前にも書いたので省略するが、日本人の石川さんが代表で、日本語でメール、電話が出来る。バイリンガルのブログもある。

V5600の単体はUS $648.95で、ikan V5600 Deluxe Kit for Sony "L" Type BatteryはUS $764.00だ。ソニーのL型バッテリーNP-F970を12Vに昇圧するアダプターやケースなどがセットになっている。
取引にはPayPalを使っている。私が購入した時は発注から4日後には届いた。その間荷物の追跡も出来てワクワク出来た。もちろん決済には送料も必要だが、それほど高くは無かった。

上の写真はHVR-Z5Jのアクセサリーシューに取り付けてリターンモニターに使っているところ。小さいので何処にでも取り付け出来、ミニジブのモニターとしても便利だ。


以前に購入したマンハッタンLCDの8.9吋は2画面表示できるが、このV5600ではその機能は無い。
現場に合わせて使い分けているが、画質を比較すれば確実にiKanだと思う。しかしそれはあくまで小型LCDとしての画質であり、画質ではSONYのLMD-940WがHDMI入力対応では最良だろう。ただし監督には液晶を嫌がる人も居て、その場合はD3やHD−SDI対応のCRTのHDモニターD9H5やD9H1になる。
いくら液晶が進歩したと言っても、やはりよく出来たブラウン管モニターは美しい。特に上下左右のどの方向から見ても明るさが一定なのがいい。ドイツのカール・フェルディナント・ブラウンが発明して付いたブラウン管だが、液晶やプラズマは人名ではない。やはりブラウン管は偉いと思う。
2010年2月5日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年02月02日(火)
Ai Nikkor 105mm F2.5S
Ai Nikkor 105mm F2.5S
このレンズはもう何本目になるだろうか。Nikon Fの時に使っていたのがNikkor Auto 105mm F2.5だった。この頃使っていたNikkor-Q Auto 135mm F3.5に比べ、鏡筒が黒になりカッコよかった。F2の時代には距離環が金属からゴム巻きに変わったNew Nikkor 105mm F2.5、そしてF3PやFAを使うようになってフード内臓になったAI-SのAi Nikkor 105mm F2.5Sである。現在Jr.がNikon D700で使っている。

ニコンのサイトによるとNikkor Auto 105mm F2.5が発売されたのは1971年である。そして最終モデルの販売が終了する2005年まで、約35年間、外観や機能の変更は行われたが、光学設計は変えなかったそうだ。いかにその設計が優れていたかがうかがえる。
現在マニュアルフォーカスの105mmはAi Micro-Nikkor 105mm F2.8SのみでAFではAi AF DC-Nikkor 105mm F2DとAF-S VR Micro-Nikkor ED 105mm F2.8G(IF)が出ている。DC-Nikkorは絞りとは別にDCリングでボケ具合をコントロール出来るようだ。

上の写真はJr.が毎週梅田界隈でスナップしてくる写真。昔と違って最近では街のスナップも難しいらしい。特に女性の撮影には気を遣うようだ。昔ならドドッと近寄って一言「写真取らせてね」で済んだものが、近頃はひとつ間違えれば盗撮やストーカーに間違えられる。
対策としてJr.は自分のポートフォリオと名刺は必ずカメラバッグに携えていく。

デジタルカメラの最大の利点はその場でプレビューできることだ。撮った相手にその場で見てもらい、写真展やアルバムに使っていいかを確認する。そういう場合にポートフォリオは必須である。それでも中にはその場で消去を求められたり、ぼかしてほしいという人もいる。しかし本人に写真を気に入ってもらった場合にはメールを交換して後日写真を送ったりする。上の彼女はプレビューでとても気に入ってくれたそうだ。

暇を見つけては人々の生き様をスナップするJr.だが、現在写真を担当しているアスキーの「レイヤーズ」最新刊が店頭に並んでいる。今回は2現場で11ページを担当した。まだまだ駆け出しだが、印刷されること、出版されることの喜びを知ってしまった。もう後戻りは出来ない。

最近スチルネタが多い。スチル関連をWEBに上げてからレンズ関係のキーワードが増えたからだ。私としてはEOS 5DmkUや7Dに関わってムービーとスチルの距離が近付いたという認識だが、もう少しムービー関連のキーワードも拾っていきたい考えている。
2010年2月2日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月28日(木)
古いAIニッコール 135mm
古いAIニッコール 135mm】で検索されていた。
会社ではキヤノンEOSを用いた動画に古いニッコールレンズを多数用意している。
今のデジタル一眼レフに古いレンズが使える・使えないを聞かれれば基本的には使えると言える。しかし注意も必要だ。古いレンズといえば基本的にフィルムでの撮影しか考えられていない。フィルムの場合は表面の反射率が低く、レンズ面とフィルム面で生じるミラーボックス内の反射は少なかった。


ところがフィルムが撮像素子に変わってからはCCDやCMOSの表面で反射した光ががレンズの表面・裏面(後玉表面だけではなく、内部の多数あるレンズ表面でも反射する)を往復・乱反射を起こしてしまう。フィルム時代のマルチコーティングでは抑えきれない反射がデジタル一眼レフではフレアーの大きな原因になるようだ。
次の写真はAi Nikkor 135mm F2.8をNikon D300に付けて撮ったもの。フレアーで暗部が浮いている。(クリックすると大きな画像が開きます)
スタイリストのKさん

Ai Nikkor 135mm F2.8に限らずF3.5のAi Nikkor 135mm F3.5でも傾向は同じでやはりフレアーが生じやすい。スタジオ撮影の場合はレンズに差し込む画角外の光はハレ切りで徹底的に遮断するので問題は無いが、屋外のスナップでは余分な仕事が増えるだけである。もちろん意図的にフレアーを望む場合には敢えてこういったレンズを選ぶこともあるだろう。しかしフレアーが出るからNGというふうに早合点の必要も無い。デジタルデータゆえに画像調整によってフレアーを抑えることも簡単に行える。下の写真は上と同じデータをPhotoshopによって補正したものだ。テレビカメラの場合も基板やメニューに各色のフレア補正があり、電気的にフレアーを抑えている。(クリックすると大きな画像が開きます)
スタイリストのKさん

また、古いレンズが必ずフレアーが出やすいのか?といえばそうではない。同じ135mmでもAi Nikkor 135mm F2Sは上のようなフレアーは起こしにくい。レンズの構成枚数は4群6枚でF2.8の4群5枚、F3.5の4群4枚よりも多いが、ともに4群で構成され、空気と触れている面の数は同じだ。設計者が意識してフィルム面との反射を考慮していたのかも知れないが差だけではない。しかし結果としてデジタルでもフレアーを起し難かったのだろう。
他にも古いレンズで面白いのはAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5などもっと古いレンズが予想外にフレアーが少ないこと。昨年の夏に50-300mm F4.5(Ai-SではなくAi)を多用したがD700、D300での結果は非常に良好だった。クリアーな結像はデジタル専用コーティングが施されていないにも関わらず構造的に撮像面との乱反射を起こしにくいのだろう。古いにも関わらず良好な結果を得ているズームレンズとして確認しているものには
Ai Zoom Nikkor 25-50mm F4S
Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5(フィルタ径72mm)
Ai AF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
Ai Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5(Ai)
Ai Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5S(Ai-s)
Zoom Nikkor Auto 80-200mm F4.5
Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S
また、フィルム時代に銘玉といわれたNikkor UD Auto 20mm F3.5(AI改)やAi Nikkor 35mm F2などはやはりフィルム時代でのものだったようだ。そういう意味ではAi Nikkor 135mm F2.8Sなども同様である。
余談になるがAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5SとAi Nikkor ED 300mm F4 5S(IF)を撮り比べてみたところズームの50-300mmの方がシャープネス、コントラストともに優れていた。もちろん重量はズームが1,950g(AIは2,200g)で単焦点の300mmは990gと倍の重さになるが、50mmまで引けるメリットを考えれば性能も含めてズームに軍配があがる。このズームレンズは私の単焦点>ズームの固定観念を覆したレンズだ。
2010年1月28日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月24日(日)
Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S オーバーホール
Ai Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S オーバーホール】という検索。ヒットしていたページはNIKON D700にこのレンズを付けてあるオーディションの撮影をしている。
(写真をクリックすると単体写真が開きます)
定位置からニーショットとバストアップがワンタッチで切り替えられるので選んだレンズだ。AI-sの80-200mm F4.5でも良かったし、EOSに70-200mm F2.8Lでも良かったのだが、数日前にNPSでメンテナンスを終えて戻ってきたたことと、スナップ用のAi 35-70mm F3.5とのトーンを揃えるためである。
メンテナンスの主な目的はズームと距離環のトルク調整、そして内部のレンズ清掃である。カビなどは全く無いが、レンズは古くなるとどうしても埃の混入とレンズが空気に触れる面が僅かながら汚れてきて透過率の低下が生じる。もちろん逆光時にフレアを起しやすくなる。
メンテナンスのお陰でリングの動きは適度なトルクをもちつつも、とても滑らかに動くようになった。
(※2010年現在このレンズのメンテナンスはニコンでは受け付けていない。理由は補修部品(レンズ等)が払底したために作業中のレンズ割れ等に対応できないからということである)
写真に写っているのは私のJr.だが、動画の現場ではVEや音声、そしてカメラも振るが、写真の方も徐々に経験を積ませてもらっている。
少しずつではあるが雑誌なども撮らせていただくようになり、今月末にはまた新しい号が本屋の店頭に並ぶ。
AF全盛の時代に敢えてマニュアルフォーカスを選ぶ理由は「ピンとは自分で取るもの」という彼なりのこだわりと、もう一つ大きな理由は私がニコン好きでF時代からのニッコールを持っているのでAFレンズを買わなくて済むことである。
※仕事としてはAFも必要で、Ai AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6D、AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED、Ai AF-S Zoom-Nikkor ED 17-35mm F2.8D(IF)、Ai AF Zoom-Nikkor ED 18-35mm F3.5-4.5D(IF)、Ai AF Zoom Nikkor 28-105mmF3.5-4.5D(IF)、Ai AF Nikkor 85mm F1.4D(IF)とキヤノンのEF-S17-55mm F2.8IS、EF70-200mm F2.8L、そしてシグマの18-50mm F2.8 EX DC MACROなどのAFレンズは揃えている。決してAFを否定しているわけではない。


先日木村充揮さんのライブを撮影した時のレンズAi Nikkor ED 300mm F2.8S(IF)とAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5Sもやはりマニュアルフォーカスの古いレンズだった。本人曰く「木村さんの撮影にAFは失礼。ブルージーな音楽にはマニュアルが似合う」だそうである。もちろん撮影結果もピントに問題ないので好きなスタイルで撮ればいい。そんなニコン好きの彼も出版物が溜まってプロ登録できた。

ちなみに上の写真に写っている80-200mmは82年から85年まで販売されたもので、製造数は1539本と言うレアなもので、現在eBayではUS $3,850.00で売られている。これは発売されたこ時の定価に近い金額だ。しかしいくらレアだと言っても使わなければただのガラス玉でしかない。仕事に使ってこそニッコールレンズである。

WEBを検索してみたがF2.8はAFの80-200mmばかりがヒットして、AI-Sの80-200mmは数件しか無かった。

1900年代(1959〜1999年)のニッコールレンズ カテゴリー別一覧 (By キンタロウ)

Haniwaのページ"作者のblog

Ai-S ズーム ニッコール ED 80〜200mm F2.8

以下海外サイト
Nikon Zoom-Nikkor*ED Ai-S 80-200mm f2.8

Nikon 80-200mm f/2.8 History

MF Nikkor Zoom lenses 80-200mm f/2.8 ED

Nikkor 80-200mm f/2.8D

そしてeBayだった。

追記:このレンズ、大阪駅地下の八百富写真機店194,250円で販売されている!
そしてあのNikkor Auto 15mm F5.6(C)Ai改も売っている。価格は157,500円也
欲しい人はどうぞ!(2010.2.1)
2010年1月24日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月23日(土)
ついでにもう一つ、フォクトレンデルは?
先の記事「Sachtler=ザハトラー:サクラー?」でいろいろコメントを頂いたので、この際ついでにもう一つ「Voigtländer=フォクトレンダーvsフォクトレンデル?」について。



フォクトレンダーは現在(株)コシナが商標使用権を持って製造するカメラ及びレンズのブランド。
Voigtländerは世界で最古の光学機器メーカーで創業は1756年ということだ。肖像写真用のダゲレオタイプを作っていたときけばその歴史がいかに古いものかがわかる。
その老舗Voigtländerも様々な変遷の後に現在のコシナが製造販売するブランドとして蘇ったのである。

私が昔勤めていたスタジオにはシュナイダーのジンマーやスーパーアングロン(本庄が輸入販売)そしてローデンストックのシロナー(アサヒペンタックスが輸入販売)等に混ざってコマーシャルエクターやユニバーサルヘリアーがあった。コマーシャルエクターはイーストマンコダックの銘レンズであり、ユニバーサルヘリアーはVoigtländerの銘玉である。
当時はVoigtländerをフォクトレンデルと呼んでいたように記憶するが、フォクトレンデルであろうと、フォクトレンダーであろうと、まずVoigtländerと書かれているものをそんな風に読めるものではなかった。
手元に私の写真を数ページ掲載したアサヒカメラ(1981)があり、広告欄を見るとフォクトレンダーと書かれていることから、フォクトレンデルと読んだのはそれよりも前、ニコンSシリーズからニコンFに変わりだした頃だろう。

ちなみにヤフーでフォクトレンデルを検索すると
「フォクトレンダー ではありませんか?」と促されるが、それでもフォクトレンデルで約2,710件ヒットする。
よく似たものにシマノのデュラエースがあるが、私や私の周りでは今尚ジュラエースが普通に使われている。やはりはじめに憶えた読み方はそう簡単にはぬけないらしい。
2010年1月23日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月22日(金)
Sachtler=ザハトラー:サクラー?
昨日の記事にコメントを頂いた。
Sachtlerについてだが、Sachtlerの日本法人では「ザハトラー」と表記しているので、
サクラーではなく、ザハトラーが正しいということである。
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2010年01月21日(木) 17:51 by それよりも
「ヴィンテン」「ビンテン」よりも「サクラー」の方が良くないと思います。
こういう変な呼び方を業界用語として使うのはどうかと。
若者がいい気になってまねをするので。
あと、「スチル」のことを「スチーール」と言うとか。
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2010年01月23日(土) 00:11 by linear_pcm0153
はじめまして、こんばんは、linear_pcm0153と申します。
いつも楽しく拝見させていただいています。

ザハトラーはサクラーと呼んでも通じるのですか?
日本ザハトラーと正式なカタカナ表記が「ザハトラー」なので
そちらが正解だとは思うのですが気になりました。
映像機材に関わらず、スイス・ドイツ系のカタカナ表記が厄介では ありますね…。
※エレベータのシンドラーや銃火器のステアーなど
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しかし何故Sachtlerをサクラーやサクラと呼ばれるのだろうか。
WEBを見ると機材会社のサイトで今もサクラーサクラと表記している会社がある。他にもA社B社C社等。C社と書いたが、ここは懇意にしている「三和映材」さんである。
私が買い物をするアメリカのPRO AUDIO VIDEO GEARもサクラーだ。ここは石川さんという日本人が社長で、電話も日本語が通じる。

余談はさておき、何故ザハトラーとサクラーの呼び方が混在するのかの理由は簡単だ。本国のドイツでも「ザフトラー」「ザクトラー」と呼ばれ、英語圏や仏語圏では「サクラー」と発音されるからで、日本にSachtlerの法人が無かった頃に「サクラー」呼ばれていたからだろうと思われる。
いずれにしても百聞は一見にしかず。IBC 2009のSachtler紹介ムービーをご覧頂きたい。

しっかり「サックラー」と言っている。他にも


やはり「サクラー」と言っている。では最後にもう一つ。


やはりサクラーと言っている。ではドイツ人を探してみよう。


ドイツ人らしい人が言っているのは「ザフトラー」「ザハトラー」と聞こえるが皆さんはどうだろうか。

いずれにしても日本では現在Sachtler=ザハトラーである。ポール・サイモンやエルトン・ジョンが唄っているように、NIKONが「うちはニコンだ」と言っても、海外でナイコンと呼ばれているのと同じようなものだろう。
外人がいくら「サクラー」だと言っても日本では「ザハトラー」が正しいのである。
2010年1月22日 | 記事へ | コメント(6) |
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2010年01月20日(水)
ビンテン
ビンテンでの検索。
ヴィンテンには申し訳ないがついついビンテンになってしまう。

Viに対してヴィと書く習慣が減ってきたためだろう。ベートーヴェンがいつの間にかベートーベンで普通になってきたようなものだろう。検索結果もベートーヴェンが2,940,000件でベートーベンが 4,470,000件と逆転してしまっていることからも頷ける。
ちなみにヴィンテンは9,080件でビンテンは5,920件と今現在は逆転していない。
ホームページでも「ヴィンテンのホームページへようこそ!」ということでヴィンテンが正しいことがわかる。

さて、そのヴィンテンヴィジョン10(ビンテンビジョン10)だがカウンターバランスの調整ノブが空回りしてしまうようになり現在メンテナンス中だ。おそらくノブの取り付け部のどこかが破断したためだ。部分修理では3万弱だが、ヴィンテンのサービスからはアッセンブリーの交換を勧められた。初期状態に比べスプリングなどが弱ってきていたため、重いカムコーダーを載せるとカウンターバランスをいっぱいまで回さなければ完全バランスにならなかったことからもバネの疲労が想像できる。部分修理を行ってもすぐに別な不具合が発生することは容易に想像できる。
メンテナンス費用は高くなるが、やはりカメラマンにとって命ともいえるカメラサポートはベストな状態にしておきたい。もちろん勧められたアッセンブリー交換でお願いした。
下の写真はこのヴィジョン10からこれまでに交換したパーツ。
ブレーキやロック機構、スプリングなどだ。


ボールヘッドは交換で取り外したボールヘッド。磨耗のためにスリップするために交換し、現在は次のような状態だ。
ヴィジョン10LFはバルセロナオリンピックのあった1992年の購入だから、今年で18年目になる。
群馬のふくださんがブログで「安物買いの銭失い」という記事を書かれていたが、まさにその通りだ。カメラサポートは導入費用は高くついてもメンテナンスすることで長期間に渡って高性能を維持できるヴィンテン、サクラーザハトラーなどがいいとおもう。
今回のアッセンブリー交換の工賃は9,000円、部品代は58,950円で税込み合計は67,590円である。ほぼカメラマンの撮影ギャラ2日分に相当するが、長期間の性能維持を考えれば安いともいえよう。
ちなみにこれまでこのヴィンテンにかかったメンテナンス費用を合計すると凡そ30万ほど。国産の高級カメラサポートを購入できるほどだが、18年で平均すれば格安の維持費ではないだろうか。
なんといってもベスト状態のヴィジョン10がいつも身近にあるのがその結果だ。

20100121訂正
コメントを頂いたので記事を修正しました。

「ヴィンテン」「ビンテン」よりも「サクラー」の方が良くないと思います。こういう変な呼び方を業界用語として使うのはどうかと。若者がいい気になってまねをするので。
2010/01/21(木) 17:51 202.75.234.220
あと、「スチル」のことを「スチーール」と言うとか。
2010年1月20日 | 記事へ | コメント(3) |
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2010年01月13日(水)
EOS7D EOS5D 動画
EOS7D EOS5D 動画】だった。動画が上がっていなくて申し訳ない。
EOS7DとEOS5DにFマウントのAiニッコールを使う場合、EOS7DはAPS-Cサイズ、EOS5Dは35oフルサイズとなるが、フルサイズ用のレンズをAPS-CやニコンのDXフォーマットに使用する場合は注意が必要だ。
イメージサークルの大きいフルサイズ用のレンズをAPS-CやDXといった撮像面積が小さいハーフ版デジタル一眼レフに使用すると画角外の余分な光線が鏡筒内面やレンズ側面、またカメラのミラーボックス内部で不要に反射してフレアーを起こす。フレアーは特に暗部に大きく影響する。
動画を撮る場合やスタジオではマットボックスや蛇腹フードを用いて画角外の光線をカットする。時に開放では口径食を起してしまうギリギリのところまで攻めたりもする。しかし、いつもいつも蛇腹フードを使うわけには行かない。邪魔になるからだ。大方の人はメーカー純正のスナップオンやバヨネット式の花形フードを使われていると思う。しかしフルサイズ用レンズの場合はメーカー純正ではハーフ版カメラで使用した場合は浅すぎる。

上の写真はAi Nikkor 20mm F3.5S用のHK-14だが、見かけの焦点距離が1.6倍・1.5倍にシフトしてしまうEOS7DやニコンD300などではこれよりも深いフードが必要だ。

これはAi Zoom Nikkor 50-135mm F3.5S用のHK-10だ。20oが1.5倍シフトするから30o、つまり28o用が最適に思うのだが、レンズや鏡筒の構造によって一概にそうは言えない。実際に装着した結果ジャストフィットすることが判った。

これはフィルターサイズ72oのAi Zoom Nikkor 35-70mm F3.5用のHK-4だがこのレンズをハーフ版で使用する場合は次のフードが適していた。

Ai Nikkor 85mm F1.4S用のねじ込みフードHN-20である。

これはAi AF Nikkor 28mm F1.4DやAi Zoom Nikkor 25-50mm F4S用のHK-7だが、ハーフ版では前出のi Zoom Nikkor 35-70mm F3.5用のHK-4が適している。このHK-7が適合する裏技としてNikkor UD Auto 20mm F3.5への流用がある。上記のレンズ(28mm F1.4、25-50mm F4)が発売された頃にはすでにUD Auto 20mm F3.5は姿を消していたために推奨になっていないが、UD Auto 20mm F3.5の専用フードであるHN-9よりも適しているように思う。(HN-9と同様、フィルターとの併用ではほんの僅かだがケラレを生じる)

私が大好きなAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5やAi-sのAi Zoom Nikkor ED 50-300mm F4.5Sでは純正は95Φのカブセ式フードHK-5になる。
しかしD300やEOS7Dに使用する場合はやはりアタッチメントサイズ95ΦのAi Zoom Nikkor ED 80-200mm F2.8S用HN-25が最適になる。


最後の写真はDXフォーマットで使用するためにフードを装着したオールドニッコールレンズだ。
左からAi Zoom Nikkor 35-70mm F3.5、Ai AF Nikkor 20mm F2.8S、Ai Zoom Nikkor 25-50mm F4Sでそれぞれに85o用HN-20、50-135用HK-10、35-70用HK-4を装着している。(Ai AF Nikkor 20mm F2.8Sはオールドではなく現行マニュアルフォーカスレンズ)
APS-Cで使用すると25-50mmは40-80mm、20oは32o、58-11mm相当の焦点距離にシフトする。フィルムカメラの使用が長かったので、APS-CやDXモードの時はオリンパスペンFを使っていた時の頃を思い出して使うのだが、なかなか画角がイメージできない。また撮影時に1.6倍や1.5倍をかけて計算するよりも換算表の方が便利が良いし、レンズに換算焦点距離を印刷したテプラを貼ったりしている。

古いレンズの場合、別売りや付属のフード類はメーカーに在庫は無く、Yahoo!やe-Bay、または田舎の中古カメラ店を探すと格安で入手できる場合がある。間違っても都会の中古カメラ店などで購入することは避けたい。時に発売当時の数倍のプレミア商品になっていたりするからだ。購入や入札する場合は事前に発売当時の定価は調べておきたいところだ。以前四国の中古カメラ店で500円で購入したものと同型のものが大阪のカメラ店で1万円を越える金額で販売されていた。
安く販売されていたときは迷わず衝動買いをお薦めする。見逃して次に入手できるチャンスはいつ訪れるかはわからない。
2010年1月13日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月10日(日)
AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G EDの湾曲
ニコンのAF-S Nikkor 14-24mm f/2.8G EDを検討するためレビューを探していた。特に歪曲収差がどうなのかが気になる。
見つけたサイトはhttp://www.photoreview.com.au/Nikon/reviews/cameraaccessories/afs-nikkor-1424mm-f28g-ed-lens.aspx
オーストラリアのサイトだが、実写が載っていた。

14mm setting at f/2.8.


24mm setting at f/2.8.
24mm時の歪曲収差は見事だが、14oでの樽型湾曲は酷い。曲がりすぎである。
そこでもう一つ調べてみた。AF-S Nikkor 24-70mm f/2.8G EDだ。同じくPhotoreviewの画像だ。


24mm setting at f/2.8.


70mm setting at f/2.8.

このレンズもワイド端の画像は酷すぎる。ともに20万以上する高級レンズなのだが・・・・
これまでにニコンの広角ズームは学生時代に28-45oF4.5をニコンFやF2で使ってきた。そしてF3Pでは25-50oF4、35-70oF3.5を使ってきた。全てフィルム時代のものだが、これほどまでに湾曲することは無かった。25-50oF4、35-70oF3.5はともにアタッチメントサイズ72Φのマニュアルフォーカスのもだが、現在もD700で使用している。
レビューの結果を見る限りは進化というよりも退化しているとさえ見受けてしまう。
ふと思ったのだが、デジタル一眼レフが流行したのには高倍率ズームがあるからのようだが、デジタル現像の際に歪曲収差や倍率色収差が補正できるためにメーカーは解像度に的を絞ってレンズ設計しているのだろうか?あくまで私の想像だが、全く外れているとは言えないと思う。しかしこの湾曲はムービー撮影では致命的だ。デジタル一眼レフの動画形式はMPEG-4やAVIだが、編集時に歪曲収差の補正をするには無理がある。やはり結像時点で歪曲収差が残らないようにしてもらいたい。
それにしてもよく曲がるレンズたちである。
2010年1月10日 | 記事へ | コメント(0) |
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2010年01月01日(金)
2010年初撮影 EOS5DmarkU+Nikkor
明けましておめでとうございます。
旧年中は勝手気ままなブログにお付き合いくださり有難うございました。今年も相変わらず独断と偏見に満ちたブログになること必至ですが、何卒お引き立てのほどお願い申し上げます。
笹邊幸人 2010年元旦


昨年から徐々に計画していたEOS動画がようやくスタートラインに立った。まだ仕事を請けるところまでは完成していないが、その一部を紹介するためにスタジオで機材の撮影を行った。
先ずはEOS5D MkUに使う最長のレンズAi Nikkor ED 300mm F2.8S(IF)である。何故キヤノンのカメラにニコンのレンズなのかは後述するが、EOSで動画を撮影する場合はEFレンズよりも何かと都合がいい。そして何故ニコンのD3sやD300sのDムービーでない事も理由がある。
次の写真は最短焦点距離のAi Nikkor 15mm F3.5Sだ。
15oF3.5の水平画角は100度(対角画角は110度)で13oF5.6の水平画角108度には及ばないものの、放送用HDショートズームHJ14e×4.3B IRSEのワイド端水平画角96.3度よりも広い。明るさもF3.5と旧のAi Nikkor 15mm F5.6やAi Nikkor 13mm F5.6Sに比べて1絞り以上明るく照明部の負担が少なくてすむ。超広角レンズにみられる周辺光量の低下も全画角に一様な明るさを持つように配慮され、歪曲収差も良好に補正されているので、建造物や室内での撮影をはじめ、特異な効果を狙った撮影にも威力を発揮する。

先ほど書いたEOS+ニッコールレンズのことだが、EFレンズには絞り環が無く、ボディー側から電気的にコントロールするようになっている。同様にニコンも最新のレンズはキヤノン同様絞り環が省かれてしまった。実はこれが動画撮影にとって非常に不便になる。ビデオカメラの絞り(アイリス)は連続可変し、作画意図に合わせて微妙なコントロールが可能(一部民生機のVXやPDなどでは段階変化)である。中継録画のようにVEが撮影中にアイリスを調整することはないが、時にアイリスフォローが必要な場合は段階変化はいただけない。
では、何故ニッコールにキヤノンなのか?
それはニコンのムービー機能が動画制作向けのものではなく「連続する静止画」としての要望からスタートしたらしく、ファインダーがアイリスの変化に対応して変化しないようになっているからだ。D3sで色々確認したがアイリスを絞ってもライブビューは明るいままだった。メニューで変更できるのかとニコンの技術者にも聞いたが無理なようだ。ニコンはあくまで写真機ということだ。

我々は普段からソニーのビデオカメラにキヤノンやフジノンのレンズを装着して使っているため、ビデオカメラにカメラメーカー純正のレンズを装着する必要は感じていないしビデオカメラメーカーもOEMで純正レンズを供給している程度だ。
EOS動画を考えた時にレンズは迷わずマニュアルフォーカスのニッコールと考えていた。もちろんNIKON FからF2、F3Pと使ってきたユーザーゆえにニッコールへの愛着は強い。もちろんキヤノンF1やA1も使い、FDレンズも色々使ってきたが、ここに来てEOSのマウントに余分な光学系を入れないで使えるFマウントのMFニッコールレンズが輝きだした。当然余分なコストがかからないこともEOS+ニッコールレンズの大きな理由だ。キヤノンのEFレンズもEF-S17-55mm F2.8ISやEF70-200mm F2.8Lを持っているが、これを5DMkUに装着して写真を取るかと言えば疑問だ。写真はあくまでD700である。
EOS+ニッコールレンズに対する基本的な考え方は5DMkUはあくまで撮像部分である。そのためにメーカー保証の対象から外れる改造なども必要だ。この考え方はビデオカメラに置き換えるとわかりやすい。ビデオカメラの場合はレンズ、カメラヘッド、ファインダー、マイクなど全てがバラバラに構成され、必要に応じてメーカーの枠を越えてシステムを構築する。EOS動画も同様、必要に応じてレンズ、周辺機器などを組み合わせていくことが動画カメラとしては自然な流れではないだろうか。写真には全貌は写っていないが、5DMkUに取り付けられたモニターは5.6吋の液晶モニター。小柄だが1024×600の解像度を持ち、EOS5DmkUとはHDMIで接続する。電源はソニーのNP-F970を12Vに昇圧して使用している。

際最後の写真はAi AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6Dを装着したEOS5DmkU
AFレンズだがマニュアルフォーカスで使用する。このズームレンズはニコンだけが発売したマクロ撮影用ズームレンズで、ズーム全域で約0.37mまで被写体に接近することが可能だ。最大撮影倍率は70mm時1/3.2倍、180o時は約1/1.32倍となり、ワーキングディスタンスは約12cm。EDレンズを採用することで色収差を抑え高画質を実現し、フルハイビジョンの接写でも高い解像度が得られることはもちろん、三脚を前後ささることなくフレーミングできるために、通常のマクロレンズの数倍の速さで撮影を進めることが出来る。もちろんズームレンズ+クローズアップレンズでも同様のことが出来るが、やはりマイクロズームレンズとして設計されただけに性能は高い。マクロレンズだが無限遠性能も非常に高く、さらに近接時に露出倍数がかからずF値が常に一定と言うことも特筆すべきことである。EOS動画の物撮りには必須の一本であると思う。
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2009年12月31日(木)
2009年最後の行事
2009年の最後の行事は墓参り。亡父と亡兄、そして先祖の眠る墓の掃除と献花である・・・・・
といいつつも、今回は別な目論見があった。

EOS動画での使用を予定しているNIKONのマイクロズームAi AF Zoom Micro Nikkor ED 70-180mm F4.5-5.6Dのテストだ。
普通のビデオカメラの場合は標準ズームレンズにプロクサー(クローズアップレンズ)を付けて近接撮影を行い、フレーミングの調整は三脚の高さと被写体からの距離を大雑把に決めた後にズーム操作で微調整を行う。ところがレンズの描写力が問われるEOSムービーではズームレンズにプロクサーでは画質を犠牲にすることになり、せっかくのフルサイズもしくはAPS-Hの描写力が生かされない。そこでマイクロズームの解像度などを実写で評価するのが今回の目論見である。

画像をクリックしていただくと原寸のJPEGが別なウインドウで開く。
そしてもう一枚。墓の花もやはり正月らしいものが活けられている。

ニコンのサイトにこのレンズの開発秘話が載っている。今ではメーカー在庫も無くなり貴重なレンズになってしまったが、EOS動画では1本は揃えたいレンズである。グーグルで検索してみると色々出てきて面白い。またオークションにも現在神奈川のストアから1本出品されている。思わずもう一本欲しくなるレンズである。
先日このレンズでアニソンシンガーの宮内タカユキを撮影したが、撮影距離が遠い場合でも優れた描写をするレンズだと思う。
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2009年12月25日(金)
Z5J 被写界深度
Z5J 被写界深度」での検索。
ビデオでも写真でもフォーカスが合っている場所はひとつの平面であり、いくらアイリスを絞っても合焦している面は三次元にはならない。カメラから伸ばした巻尺を撮影すれば合焦点がフォーカス操作によって前後することがわかる。しかしアイリスを絞ることでフォーカスが合っているように見える範囲(深度)は増えていく。これが被写界深度と呼ばれる。合焦しているように見える許容錯乱円の大きさにもよるが、写真に比べるとハイビジョンであっても許容錯乱円の径は写真よりも大きい。そして焦点距離が長いレンズほどボケが大きく、許容錯乱円をはみだすことになる。
レンズの焦点距離と画角は撮像素子の大きさが変わった場合に相似形で変化するように思うが、そこに絞り値が影響する。1/3吋の撮像素子を搭載したHDVや1/2吋のXDCAMEXで2/3吋の撮像素子を持つHDCAMと同じ深度の浅さを求める場合にはアイリスをHDCAMよりも1段ないし2段開かなければならない。ところがレンズの開放F値はHDCAMもHDVも大して変わらない。写真でも同様にAPS-CやDXフォーマット、フォーサーズ用レンズであっても開放F値はそれほど変わらない。つまりフルサイズの50oF1.4に対応するDXフォーマットのレンズであれば35oF1.0が欲しいところだ。WEB上に詳しい計算式などもあるが、経験的に撮像面積が小さくなれば被写界深度が深くなってしまう。HVR-Z5Jもそうだが、HDCAMの2/3吋CCDであってもよほどアイリスを開かなければ映画のようなフォーカスによる演出は難しい。もちろん長めの焦点距離を使ってボケを演出するが、HJやHAレンズも開放付近ではスチル用レンズの性能には及ばない。

上の写真はNikon FマウントのレンズをCANON EOSに取り付ける変換アダプターだ。
CANON EOSマウントはフランジバック44.0mmマウント開口φ51.2mm
ニコンFマウントはフランジバック46.5mmマウント開口φ44o
このフランジバックの差2.5oとAF化の際に評判の悪かった小さめの開口径のおかげでFマウントはEOSマウントに無限遠までのフォーカスをキープしたまま変換光学系を必要とせずに装着できる。
ちなみにキヤノンFL/FDマウントはフランジバック42.0mmマウント開口φ47.9oでリレーレンズを使わなければ近接専用になってしまう。
何故マウントアダプターなのか?それは手元に30本ほどのニッコールがあるからで、来年はそれらをEOS5DMkUで使う算段をしているからだ。HDCAMのB4マウントに比べて電気結合も無く、脱着が容易だ。マウントアダプターの価格が安いので、数本分を用意することでレンズ交換も素早い。EOS5DMkUの発売以降玄光社の「コマーシャルフォト」でもデジ一動画の記事が満載され、写真業界からの動画参入が目立つ。当然私の会社も25年間動画撮影を行ってきた経験を生かしてEOS動画導入は当然の流れだ。
先日ニコンのD3sを触りながら技術者と話す機会があり、色々うかがった。結果NIKON D3sの動画機能は我々の動画制作向けでないことがわかった。それはファインダー機能である。アイリスを絞ってもライブビューの明るさが常に補正されて暗くならない。露出はインジケーターで決めることになる。ファインダーやモニター出力で照明やアイリスを調整する我々のスタイルには極めて不向きである。そしてその機能を外すことが出来ないこともわかった。
では、何故ニコンがそういうライブビューを選んだのか?答えはAP通信や共同通信の要望らしい。ファイル形式もAVCHDではなくMotion-JPEGのAVIということも頷ける。1280×720の静止画が24枚/秒撮れる超高速のモータードライブということだろうか。いずれにせよNikonのDムービーは私の会社のHD制作用には向いていないという結論を得た。
現在30本ほどのFマウントニッコールを保有しているが、多くはマニュアルフォーカスのAIニッコールだ。ニコンがFマウントを他社のように変えなかったお陰でD300やD700でも問題なく使え、さらに絞り環が付いたAIニッコールのお陰でEOSにも装着可能だ。
動画用に使用予定のニッコールはED50-300oF4.5、15oF3.5、16oF2.8、20oF2.8、25-50oF4、35oF1.4、50oF1.4、85oF1.4、135oF2、180oF2.8、ED300oF2.8、ED400oF5.6等である。
2009年12月25日 | 記事へ | コメント(0) |
2009年12月06日(日)
YouTubeにメダル

会社のYouTube Channelにメダルが付いていた。再生回数が多いランク付けらしい。
といっても一日に200程度である。
この時、従来のSD画質の素材をアスペクト比4:3のままでハイビジョン表示させて解像度をアップさせる実験を行っていた。H264やMpeg4など、ビットレートを変え、コーデックを変え、サイズを変え、色々テストした。テストはローカルサーバーでは不可能なため、毎回アップロードしては削除の繰り返しになる。その都度最近のアクティビティーに「senrivideoさんが新しい動画をアップしました」と表示され、登録ユーザーにメールが送られていたはず。大変申し訳ない。
何の見返りもない作業だが、自分なりに納得できる程度までは画質が向上した。その結果が下の動画。高画質化したものと従来のものを並べているので、同時に再生して比べていただきたい。タイミングの調整は早いほうの一旦停止ボタンを一瞬ダブルクリックして調整できる。音声がダブって聴き辛いときは片側の音声を下げていただくとよい。このサイズで比較しても差は大きいと思うがどうだろうか。どちらもマスターは同じもので、YouTubeへのエンコード方法が異なるだけである。



当然のことだが動画の公開に当たってはクライアント、出演者(友人の稲森誠、望月カオル)本人、事務所の許諾を頂いている。また使用音楽の著作権、音源使用権等の隣接権も処理済である。 なお、YouTubeのアカウントをお持ちの方はチャンネル登録していただくと新しい動画をアップした際にお知らせが届く。
2009年12月6日 | 記事へ | コメント(2) |
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2009年12月04日(金)
ビンテン 代替
愛用しているビンテンのヴィジョン10LFが壊れた。今年の6月にボールヘッドを交換したものだ。前回は磨耗だが、今回はカウンターバランス調整用のツマミが空回りして締め付けられない。これが本番なら一大事。仕込の機材チェックで発見した不具合だったので助かった。

今回は修理対応ではなくオーバーホールになるかもしれない。いずれにしてもヴィジョン10が無ければ大変困る。とりあえず急ぎで見積を取っているが、嬉しいのは代替品だ。「ビンテンの金額が高いのはこういった場合のコストも計算に入れているからです。」と代理店から説明を受けたことがあるが、確かにそうだ。製品のコストには製品だけではなく、部品保有やメンテナンスの代替品などのコストも入れて計算される。高いものを売りっぱなしでは困るのである。

今回の代替品は上位機種のヴィジョン100だ。「修理は急がないからね!」ゆっくり時間をかけてメンテナンスしていただきたい。ちなみに「ビンテン 代替」をググッてみたら、このブログが第一位になっていた。
2009年12月4日 | 記事へ | コメント(0) |
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